smile | ナノ


「エースっ!」

「チサ、どうしたんだ?」

「ふふ、エースの顔が見たくなっただけ!」

「!・・俺もチサの顔見れて嬉しい」

笑いあえば、どちらともなく唇を重ねた。触れ合うだけのキス。
少しだけ照れ臭くて笑えば、エースは額にキスをした。くすぐったくて、でも愛しくて。こんな日がずっと続くことが本当に嬉しいんだ。


「あ、そういえばさっきマルコさんがエースの事探してたよ?」

「げっ・・」

「また何かしたの?」

「・・・ちょっと腹が減っただけだよ」

「盗み食いか。みんなの食料の事も考えてね」

「ちゃんと考えてるよ」

「考えてる奴が盗み食いなんてするわけねェだろい」

「げっ、マルコ!」

そりゃ甲板で堂々と話してたら見つかるわけで、エースはマルコさんに連れて行かれた。相変わらず学習しないんだから。まあそこがエースらしいといえばらしいんだけどね。
海を見れば何にも邪魔されずにただ青だけが世界の全てだというように、空の青と重なって地平線を作っていく。この世界だから、見れる景色。誰にも邪魔されないで自分の道を行く、そんな人たちに憧れた。


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高く昇ってた太陽が傾き、水平線上に消えていく。海と空はオレンジ色に染まりキラキラと輝いていた。
甲板にはいつもの様に酒を手に話している者や寝転がっている者。毎日宴のように開かれる甲板での夕食は、笑いが絶えない。・・・たまに喧嘩する人も居るけど。
私もお酒(と言ってもアルコール度数の低い果汁酒)を片手に、料理を食べながらすでに酔っ払っている船員さんたちと話していた。俺の方が強いだの俺の方がモテるだの。
くすくすと笑って話を聞いていれば、いつの間にかサッチさんやジョズさんまでもが話しに加わっていて、大人数の人がワイワイとしていた。
話しに相槌を打ちながら聞いていたらやっと
マルコさんの説教が終わったのか、甲板にエースと二人で歩いてきた。よく見ればエースの頭には小さいながらもぽっこりとこぶが出来ていた。
ナチュラルに私の隣に座ったエースと、その隣に座ったマルコさん。エースはすでに大量のご飯をお皿によそっていて、食べ始めていた。それでも私はこぶが気になったので、触ってみることにした。痛かったのか、それともいきなり触ったことにビックリしたのか肩を揺らしてから私の方を向いた。

「なんだよ?」

「・・痛そうだなぁって」

「痛そうじゃなくて痛いんだよ!マルコ手加減しねェし」

「あれはエースが悪いんだよい」

「そんなに痛いの?」

「あァ」

「・・・・・痛いの痛いの飛んでいけー・・」

「ブッ、ゴホッゴホッ」

撫でながら子供の頃親によくやってもらったことをエースにもやってみれば、吹いた。しかも食べていたご飯が詰まったのか、むせ始めた。やっと落ち着いたかと思ったらキッと軽く睨まれた。

「俺はガキじゃねェ!」

子ども扱いされた事が癇に障ったのか。だけど盗み食いで怒られるなんて本当に子供のすることだ。
次第におかしくなってきてくすくすと笑えば、拗ねたようにムッとした。

「ふふ、ごめんごめん。エースが少しでも痛みが和らげば良いなと思ったんだけど」

「・・・それくらい分かってる」

「エース、」

「なんだ?」

「大好き」

「!俺もだ」

ニカッと太陽みたいに笑うエースに、私も笑顔で返した。




好きです、世界中の誰よりも


(太陽みたいに笑うあなたも)(子供みたいに拗ねるあなたも)(全部、全部大好きです!)



 

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