拍手お礼 | ナノ
ミス立海と言われる彼女、苗字名前は俺と同じクラス。もっと言えば、隣の席。そんな彼女に好意を抱いていたのは入学式の時からで、やっと話しかけられるようになった。で、今日は部活も休みだから告白をしようと思っていた。
「意気込みだけはいっちょ前じゃな」
「うるせぇ」
同じ部活仲間の仁王と現在、苗字名前の後をつけている。あわよくば彼女の自宅を知りたいなんて、邪なことを考えていたのが悪かった。彼女は平然と、さも当たり前のようにそこへ入っていった。
「・・・なぁ仁王」
「なんじゃ」
「あそこってさ、」
「・・・幽霊アパートじゃな」
「だよなぁ」
苗字名前が入っていったのは町内でも有名な、幽霊アパートと称されるボロいアパート。泥棒でも滅多に近寄らないし、普通の人間でも避ける場所だ。そんな場所に、ミス立海こと苗字名前は住んでいるのか。
「行かんのか?」
「・・・心の準備が」
隣で暇になったのか携帯をいじりだした仁王を視界の隅にやり、再度苗字名前が入っていった幽霊アパートの入り口を見た。ここに用事があるだけなら、数分で戻って来るだろうと想定して。