拍手お礼 | ナノ
待ち合わせしてるとかで、丁度待ち合わせ場所が俺たちの帰る方角と一緒だった。だから3人並んで歩くが、幽霊アパートから出れたことの安心感で、俺と仁王はやや放心状態だった。
「またいつでも遊びに来てね」
「お、おう」
出来ればもう一生お邪魔したくないかな、なんて考えている辺り、俺はダメな人間なんだろう。これじゃ告白なんて出来るわけもなくて。
「名前」
「!」
後ろから苗字を呼ぶ声が聞こえて振り返れば、冴えない男が一人。その男に駆け寄る苗字。そして腕を絡める。あれ、なんだこれ。もしかして、もしかしなくても、
「あのね、私の恋人なの。こっちはクラスメイトの人」
「そうなんだ。名前がいつもお世話になってます」
「もう、そういうの止めてってば」
目の前で好きな人が、冴えない男とイチャイチャするのを見るのは、何かの拷問だろうか。ふと仁王を見れば、憐れんだような目で俺を見てた。ちくしょう!
「ブンちゃん、邪魔しちゃ悪いし帰るかのう」
「・・・おう」
「またねー」
手を振られながら苗字と別れた。
「明日は失恋パーティーじゃな」
「うるせー」
end.
2011.12/03