拍手お礼 | ナノ

 

10分経てど苗字名前は出てこなくて、30分が経った。こうなればもう、彼女の家はここだと言っているようなものじゃないか。

「どうするんじゃ?」

散々悩んだ挙句、折角だから行ってみることにした。もしかしたら普通のボロいだけのアパートかもしれないしな、うん。苗字名前が入っていったであろう2階へ行く為に階段に一歩踏み入れたら、ギシリと木が鳴った。これ床が抜けたりしねぇよな?
なるべく音を立てたくないが、そんな俺らの胸中など嘲笑うかのように古くなった木は音を立てた。2階に上がり、表札を確認していけば、一番奥の部屋に苗字と掲げてあった。やっぱりここに住んでいるのか。

「押すきに」

心の準備がまだだと言うのに、仁王は呼び鈴を鳴らした。アパート全体に響くような音に思わずビクリとしてしまった。ドキドキと速くなる鼓動に追い討ちをかけるように、中からは「はーい」と言う声が聞こえた。

「あれ、仁王くんに丸井くん」

ガチャリと音がしてドアが開けられた。中から顔を覗かせたミス立海こと苗字名前は、芋ジャーを着ていた。なんか、ちょっとだけ残念な気がする。私服が見れると思ったのに。

「どうかしたの?あ、入る?」

「いいんか?」

「いいよー」

「邪魔するぜよ」

「丸井くん?」

「あ、悪ィ」

すんなりと苗字の部屋に入ることは出来た。中は思っていたよりも普通だった。テーブルに置かれてるお茶が5つって事意外は。なんでお茶が5つも置いてあるんだ?俺たちが来る前に誰か来た感じもなかったし。伊達に30分待ってたわけじゃないし。

「なぁ、このお茶ってなに?」

「へ?あぁ、加太吉さん達が来てたの。気にしなくても良いよ」

かたきちさんって誰だよ。ていうか、本当に気にしなくて良いのか?だってこのお茶、まだ湯気が立ってるんだぞ?明らかに今までここに居ましたみたいな雰囲気じゃねぇかよい。まじで大丈夫か?


 

- ナノ -