賽は投げられた | ナノ
「燐のばかぁ!」
「わ、ワリィ・・・」
蝦蟇(リーパー)を大人しくさせた燐くんが上って来ると、しえみちゃんが真っ先に走り寄る。その目には涙が若干溜まっていて、それを見た燐くんは若干バツが悪そうな顔をした。下の方では三人組が蝦蟇の届かないところで話している。
「私も下に行ってくるね」
「はあ?ちょ、ゆい!」
「気をつけてね」
出雲ちゃんと朔子ちゃんに伝えてから、梯子を使わずに滑り降りる。
「竜士!」
「高村、」
「こんの馬鹿!」
「ぐっ・・・!」
走ってきた勢いで竜士の頬を殴れば軽くよろけた。
「なにすんねん!」
「まあまあ坊、落ち着いて」
殴られた頬に手を当てながら切れる竜士を二人が止める。まあ私も若干殴られるの覚悟だったわけだけども、二人が抑えてくれたおかげで殴られずに済んだ。ありがたい。
「何回」
「は?」
「何回死にそうになったら気が済むわけ?」
「・・・っ」
「別に竜士が何しようが勝手だけどさ、心配する人が居ること忘れてんじゃないの?」
「・・・」
「・・・ま、謝れば許してやろう。ね、廉造、子猫丸?」
二人に話を振れば微妙な顔をしてくれた。竜士の方を見れば、何か考えているのか、次第に視線が下に降りていく。
「・・・すまんかった」
ポツリと小さな声で放たれた言葉はしっかりと私たちの耳に届いた。
「坊が謝った・・・!」
「志摩さん、失礼ですよ」
廉造がズザッと後退り、子猫丸は相変わらず苦笑いをしていた。遠くからは燐くんがしえみちゃんに謝罪をする声が聞こえた。
「ま、これからは仲間に迷惑かけないでよ?」
「・・・おん」
「ブフォ!坊が照れとる!」
「志摩!笑うなや!」
「あーあ、相変わらずだね」
「せやね。僕らもそろそろ上に上がりますか?」
「うん。そうしよっか、子猫丸」
騒いでいる二人を置いて子猫丸と二人で梯子を上る。廉造が置いてかんといてー、なんて叫んでいたが気にすることなく梯子を上りきった。
謝るのは基本
(私は心臓止まるかと思ったんだからね!)(すまん、)(ま、もう良いけどね)