賽は投げられた | ナノ

 

チラリと周りを見渡せば、他に喋っていない人はパペットを持った男の子と、フードを深く被っている男の子。まあ別に全員と仲良くなりたい願望があるわけでもないし、いつか話す機会ぐらいくるだろうってことで、今は朔子ちゃんと出雲ちゃんとお喋り。

「え、出雲ちゃんって神木神社の?」

「そうよ、悪い?」

「いや、うちのお得意様だったから驚いて」

そう、高村家の祓魔具は大抵の祓魔屋や必要とされる場所はお得意様となっている。そのせいで鍵束が凄い事になっているのだが。なんでも祓魔具とかを開発したのは高村家らしく、昔の配達は犬神様に乗って行く為鍵がなくてもそこそこ速かったらしい。だから、高村は祓魔師で知らない者はあまり居ないらしい。全て受け売りだが。

「あ、ゆいちゃん携帯持ってる?」

「うん、持ってるよ」

「メアド交換しない?もちろん出雲ちゃんも」

「あ、良いね!」

「ちょっと朴、何勝手に言ってるのよ」

プリプリと怒る出雲ちゃんだったが朔子ちゃんに言いくるめられて、三人でメアド交換をした。携帯の画面に増えた二人の名前ににやにやとしていたら気持ち悪いと出雲ちゃんから言われる。べ、別にへこんだりしない・・・!

「ゆいー、俺ともやりましょ」

「げ、廉造・・・」

「あ、そっちの二人もどうです?」

「フン、馬鹿みたい」

「ごめんね」

「振られてんじゃん」

廉造はきっぱりと断られたせいか沈んだ。その直後に竜士から頭殴られる廉造。その後ろでは苦笑いをしている子猫丸がいる。なんていうか、一番苦労してるのは子猫丸なんじゃないかと思う。

「なにしはるんですか、坊」

「そりゃこっちのセリフだ」

「ゆいさん、何かあった時の為にメアド交換しまへんか?」

「あ、子猫丸。・・・意外とちゃっかりしてるね」

カチカチと携帯をいじって赤外線で子猫丸とメアドを交換する。まあ子猫丸なら必要以上にメールとかしてこなさそうだからね。

「ゆい!なんで子猫さんとは交換して俺とはしてくれへんの!?」

「えー、だって廉造めんどくさそう」

「・・・ねぇ、泣いてもええ?」

ぐすぐすと両手を顔に当てて泣く真似をする廉造を他所に、今度は竜士が赤外線でメアドを送ってきた。それを見て更に廉造がうっとおしくなったから、仕方なくメアドを教える。

「これからは毎日メールしますね」

「ごめん、拒否るわ」

「あー、嘘ですから!」

「すみませんでした皆さん。別の教室で授業を再開します」

ガチャリと出てきた雪男くんに遮られて、私たちのおしゃべりは終わった。因みに今日は魔障の儀式と、少しの悪魔薬学の授業だった。


授業初日から
(宿題出るって・・・雪男くん鬼畜)


 

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