賽は投げられた | ナノ
ガサガサと森の中を突き進む。周りには悪魔がたくさん居る臭いがする。だからお使いなんて行きたくなかったんだと心の中で呟いてみても、誰にも聞こえない。
「・・・はぁ、」
まず、なんで私がここに居るのかと言うことを説明しよう。
今日はいつもの様に射撃練習が終わって、昼寝でもする予定だったが、なぜかお母さんに呼び出された。別に今日はまだつまみ食いも部屋を散らかしたりしてもいない。ドキドキとしながら部屋のドアを開けたら、やたらと笑顔のお母さんがいた。
「ゆいももうすぐ10歳でしょ?だからね、お使い、してきてくれないかしら?」
「・・・お使い?」
「そう。京都のお寺さんに、これを持っていって欲しいの」
「・・・なに、これ」
「祓魔具よ。手が空いてるのがゆいしかいないの」
「・・・えー、やだぶふぉうっ!」
嫌だと主張しようとしたら、近くにあったクッションが顔面に飛んできた。その勢いで尻餅をついてケツがめっさ痛い。
「これも修行の一つよ。ね、行くでしょ?」
「・・・はい」
手渡された鍵を使って、行ってらっしゃいと笑顔で手を振られた。
そんなこんなで、現在森の中。なんでこんな場所に出るんだよ・・・!
「もうヤダ、帰りたい・・・」
ガサガサと茂みをかき分けて歩いていた時、後ろからガサガサと音がして、振り返って見ればでっかい鳥の、恐らく悪魔だろうものが居た。
「わぁお、」
ばっちりと視線が合って、鳥が大声で鳴いた。
森の中でこんにちは
(合いたくなかったですけど)