賽は投げられた | ナノ

 

テーブルの上に置かれている教材を全て自室まで運び終わり、また優雅なティータイム(笑)を送っている。ティータイムと言っても、緑茶に和菓子という日本っぽいものだが。和菓子を一つ取り口に運べば、ほんのりと広がる甘さ。やっぱり甘いものは良いね。

「いやぁ、相変わらず高村さんの選ばれる和菓子は絶品ですな」

「あら、当たり前じゃないですか」

お互いの笑い声が微かに響く。まるで腹の探りあいをしてるような、そんな雰囲気。ぶっちゃけ居たたまれない。しかし和菓子は食べたいから我慢だ。一つ目の和菓子を食べ終わり、二つ目に手をつけようとしたら風に乗って悪魔の臭いがしてきた。

「・・・普段は家に近づかないはずなのにね」

「そうねぇ・・・ゆい、見て来てくれないかしら」

「えー」

「あっ、そういえば今月ピンチなのよねー。誰かのお小遣い減らさないと・・・」

「いってきます!」

「クククッ、私も是非ついて行きましょう!」

「え、嫌だよ」

拒否したのにも関わらず、メフィストは意気揚々とついてきた。こんなに山の中が似合わない人は居ないだろうと、その時思った。ガサガサと悪魔がする方に茂みをかき分けていく。私の後ろにはメフィストが付いてきている。

「本当に便利ですね、あなた方は」

「・・・道具として見るなら、殺しますよ」

「おお、怖い怖い」

クスクスと笑いながら喋るメフィスト。これだから悪魔は嫌いなのだ。人間を馬鹿にしたような態度ばかり取る。

次第に悪魔の臭いが近づいてきた。慎重に、なるべく音を立てないように近づいていたのに、私の背後からバキッと枝を踏む音がして、悪魔に勘付かれた。唸り声と共に現れたのは鬼で、思わず横に避けたら、メフィストに体当たりをかました。ナイス!

「ちょ、避けるなんて酷いじゃないですか!」

「いやぁ、ビックリして」

「怒りますよ!」

「もう怒ってるじゃないですか」

しかし喋りながら鬼を避けているのは流石と言うところか。両手を合わせて、ハンドガンを取り出し鬼に標準を合わせる。銃声が山に響いて、鬼は消えた。

「何故もっと早く撃たなかったんですか」

「・・・楽しかったので」

つい、と言った瞬間、ピクリとメフィストのこめかみが動いた。



悪魔退治
(パパッと終わらせましょう)


 

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