賽は投げられた | ナノ
「れんぞーに子猫丸に・・・坊」
「坊言うな!」
自己紹介が終わって、3人と同い年と言うことが判明した。ぶっちゃけると同い年って感じがしない。何故だろうか。
「なぁなぁ、ゆいちゃんってどんな男がタイプなん?」
「・・・」
やたらとにこにこ・・・いや、にやにやの方があってる気がするが、まぁれんぞーが近くでごちゃごちゃとうるさい。さっきもじゅーぞーが止めたけどスリーサイズとか聞こうとしてたし。
「エロガキ」
「!」
「ええでゆいちゃん、もっと言ったり」
頭の上に手を置かれて、じゅーぞーが言った。れんぞーはショックを受けたように項垂れた。隣では子猫丸が少しおろおろとしながら立っている。
「子猫丸って呼んでいい?」
「かまへんよ」
にこっと笑われたので、私も笑い返した。うん、子猫丸とは良い関係が築けそうな気がする。チラリと坊こと竜士を見たら、ものすごい形相で睨まれていた。一体何なんだ。
「なに、坊」
「坊言うなて言うてるやろ!」
「はいはい、竜士ね」
名前を呼べば、先程よりも雰囲気が友好的になったような気がする。
「・・・つか、なんでここにおんねん」
「いや、私の方が聞きたいぐらいだし」
「竜士は私の息子や」
ひょっこりと間に入ってきたのは和尚さんで、アルコールのせいで少し頬が赤くなっている。竜士と和尚さんを交互に見てみるも、あまり似ているとは言えないような。
「・・・私は祓魔具を取り扱ってる家の娘だから、今日はお使いに来たってわけ」
「祓魔具・・・?」
「そう。お守りとか聖水とか」
「へー」
祓魔具に感心があるのか、竜士は何か考えるような素振りを見せた。そして、思いついたように首を傾げた。
「でも、荷物なんか持ってへんかったやろ」
ジロジロと上から下まで見られ、最後に目が合う。確かに今の私は鞄すらも持っていない、いわゆる“手ぶら”の状態だ。お使いに来たっていうような格好じゃないのは私自身が一番よくわかってる。
「まぁ、秘密ということで」
「はぁ?なんやそれ」
明らかに眉間にしわが寄った。
「じゃあ、私は帰りますね」
「あ、送ってくで」
「ありがとうございます。でも、鍵を使って帰るので問題ないです」
じゅーぞーの申し出を断り、鍵穴の付いたドアを探す為に小屋から出る。
「ゆいちゃん、もう帰りますの?」
「うん。疲れたし」
「ほな、また今度デートしよや」
「・・・不健全」
れんぞーの顔は緩みきっている。はっきり言って、だらしない。ボソリと呟いた瞬間、今度はじゅーぞーのお父さんから拳骨をくらっていた。
「愚息がすまんな。またいつでも来てくれて構わんさかい」
「はい!それじゃあ、失礼します」
お辞儀をしてからみんなを見たら、手を振ってくれていたので私も手を振った。
寺を出て近くの民家の鍵穴をお借りして家に帰る。また、会えるだろうか。
またね
(きっと、すぐに会えるはず)