短編 | ナノ

 
ぽつりぽつりと降っていた雨は、今じゃザァザァと本格的に降っている。

つまらない授業を流しで聞きながら、外を見る。遠くの景色は靄のせいで見えない。無意識の内に溜め息をつこうとしたら、丁度チャイムが鳴った。

「名前ー」

「ん?」

「さっき外見てたろ」

「あー、うん」

「授業くらいちゃんと聞けよなー」

「燐よりは頭良いもん」

「なっ…!?」

ギャアギャアと後ろの席で騒ぐ燐を横目に見ながら、次の授業の準備をする。…次は現国だっけ?教科書とノートを出して、未だぶつぶつ言っている燐の方を振り向く。

「次、漢字小テストあるけど」

「なに!?早く言えよ!」

「忘れてる燐が悪い」

「うっ……そうだけどよぉ」

「言ってあげただけ優しいでしょ」

「そりゃ…」

でも、とか呟きながら燐は小テストの勉強をする。私もペラリとページを捲る。6限目に小テストとかダルすぎるよ先生。しかも現国は眠くなる授業No.1になるくらいだから、起きてられるか不安だ。

授業開始のチャイムが鳴って、小テストもして、授業を聞いていたら夢と現実をさ迷って。気がつけば授業終了のチャイムが鳴った。「名前ー、ノート見せてくれ」

「…私も途中から寝てた」

「げっ、マジかよ…」

雪男に怒られるだなんて嘆いている燐を一瞥して、ふと雨の音がしないのに気がついた。外を見ればさっきまでどんよりと曇り雨が降っていた空が、徐々に晴れていた。

「あ、」

「どうした?」

「虹が出てる」

「ん?おお!でっけぇ!…よし、近くまで見に行くぞ」

「え、ちょ…!燐!?」

グイッと手を引かれて教室を飛び出した。




廊下で雪男くんに怒られたのは言うまでもなく。

end.
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雨上がりの世界は美しく 

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