短編 | ナノ

 
「キャアアアア!見て、柳生くんが居る!」

「そりゃ部活だからね」

「マジやばいどうしよう!」

「頭冷やせば良いよ」

「無理、目が離せない!」

「…名前、周りの視線が痛いんだけど」

「はぁああ、柳生くんめっちゃやばい…!」

私の友人は、ちょっと変わってる。いや、ちょっとというのは語弊があるかもしれない。一言で表すとするならば、変人。それ以外の何者でもない。
現に今も、ファンクラブなんかものともせずにフェンスの一番前を陣取り柳生くんを舐め回すように見ている。心なしかファンクラブの人達でさえ引いているような気がする。

「ねぇねぇ、柳生くんこっち見てない!?」

「あー、そうだね」

「いや、マジで!超ガン見してない!?」

そりゃ毎日こんだけ騒げば視界に入るだろうよ。見た目だけは可愛い容姿してるからなかなか人気なのに…性格が問題なのよね。

「あの、もう少しお静かに願えませんか?」

「あ、すみません」

「キャアアアア柳生くんが目の前にぃいい!」

ホント、マジこいつどうにかしてほしい。なんで友達なんてやってんだろ。

「あのっ、ビームは出ないんですか!」
「ビーム、ですか?」

「はい!目からビーム、出ないんでふがっ」

「すみませんホントマジすみません」

「え、あ…」

あまりにもバカな発言をかます名前の後頭部を叩いてから、テニスコートを急いで後にした。バカだろ、かなりバカだろ。そんな彼女の好きなタイプは、


目からビーム出る人


(アニメ見すぎ。現実見ろ)
(やだよ私いつか二次元に移住するもん)
(はぁ…)


(柳生、そんなところに突っ立ってどうしたんじゃ)
(…仁王くん、私はそんなに目からビームが出るように見えるんでしょうか)
(………まぁ、そう見えるなり)
(そう、ですか…)


end.
title パッツン少女の初恋
目からビーム出る人 

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