短編 | ナノ

 
あたし、苗字 名前は絶賛初恋中。
お相手はあの超人気なテニス部で副部長を務めている彼、真田 弦一郎くんだ。

1年の頃に初めて廊下ですれ違った時に一目惚れした。今まで恋愛なんて興味なかったけど、これはきっと運命だと思った。
だけど、世の中そんなに甘くなくて。その結果、3年になって漸く同じクラスになれたと思ったのに席は遠すぎる位置。悲しすぎるだろう。その日から毎日神社で真田くんと喋れるようにと願掛けをした。まあ、金欠の時はお金を入れなかったけども。

そんなあたしに、やっと神様は微笑んだ。

3年になって2回目の席替えで、あたしは真田くんの隣をゲットした!

「真田くん、隣よろしくね!」

「うむ、こちらこそ」

相変わらず笑う事がない真田くん。そのせいかもう一人の真田くんの隣になった子はちょっと涙目だった。

「真田くん真田くん!」

「なんだ、苗字」

「あたしね、真田くんのことが好き!」

「なっ、何を・・・!」

2年ちょっとの思いが簡単に終わるわけなんて無くて、終わらせるわけもなくて。教室の中、担任が何か喋っている最中に告白。だってクラスのほとんどはあたしの気持ちに気づいてたらしいから、関係ないって。
ていうか、真っ赤な真田くん超可愛い!普段かっこいいから、なんていうか・・・ギャップがたまんない。

「真田くんに認めてもらえるように、頑張るね!」

「――ッ、たるんどるっ!」

「あははっ」

ガタリと席を立ち上がって未だ真っ赤な真田くんは、叫びながら教室を飛び出て行った。


(真田くんとお似合いだって言われるように頑張るんだから!)

end.
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目標は君のとなり! 

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