22話

シオンが家に帰ると、そこには仕事から帰ってきたアクメがいた。例のごとく、玄関口でナナリを傷めつけていたアクメはドアの音に気づいてこちらを見、手足の動きを止めた。
「おかえり」
ナナリがぜえぜえと激しく息をする音に混じってかすかにそう聞こえた直後、アクメはナナリに再び暴力を振るい始めた。
「ん…っああ…!っ…」
久しぶりに間近で聞こえるナナリのうめき声に思わずシオンは耳を塞いだ。その様子を見てかアクメはナナリを殴るのをやめた。
「ああ、すまん。早く行けよ」
「僕に配慮してくれないなんて珍しいね。…溜まってたんだ…?」
「俺のいない間、ぬくぬくと生活していたんだろ。いつもより憎い」
今日はもう長い間ナナリを傷めつけるつもりだと確信したシオンは、足早にその場を離れ自分の部屋に閉じこもった。


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