20話



「おおー、シオンおはよう。珍しく随分遅かったな」
「ああ、うん」
教室に入っていの一番に話しかけてきたのは、いつもうるさい前の席の男子だった。
「そういえばさ、聞いてくれよ。この間話しかけたあの事件なんだけど今日は」
「おーい、うるさいぞ早く席つけ」
友人が話しだした直後担当の教員が呼びかけたので、2人は前を向いて席に着いた。正直なところ、シオンは話を聞くような気分になれていなかった上、断るのも面倒だったためタイミング的には丁度よかったらしい。
いつものように頬杖をついて空を見上げる。今日は曇り。外の空気も少しジメジメしていて、雨が降りそうな危うい天気だった。

「でさあ」
授業が終わった直後、話の続きを話し始めた友人に半分諦めの気持ちを感じたシオンは、彼のお喋りを止めることなく、その言葉をただ受け流していた。
「いつも学校で猫とか、犬とか、小動物が殺されているんだ。しかも、その殺され方が特殊でさ、杭につながれた状態で必ず頭を抉られて脳を取られてるんだ」
へぇ、とシオンは適当に相槌をうつ。それに満足したのか、更に友人は話を続けた。
「未だ犯人は見つかってなくて、噂では2年のクラスの不良が腹いせにやってるらしいんだけど、正直犯人が外部の人間なのか内部の人間なのかもよくわかってなくてな、なかなか大変らしいぜ?」
「まあ、僕には関係ないし…」
「まてまて、話はまだ終わってないんだよ。重要なのはここからだ。その動物殺傷事件が今日は起きてないんだ。おかしいだろ?」
「ああ」
「そこで俺はある仮説を立てた。それはな、シオン、お前に関係があるんだ」


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