番外編1 ナナリの食事


ビチャビチャと卑しい音をたてながらナナリが何かを食べていた。
「ナナリ…何食べてるの」
ナナリは答えない。ひたすらに何かの肉片に顔を埋め貪りながら、音をたてているだけである。
「ねぇ、ナナリ」
髪の毛を引っ張って無理やりこちらを向かせると瞳孔の開ききった瞳がこちらを見つめた。顔中を血の色に染めて、口からは血生臭い肉片をこぼし、まるでただの獣のような雰囲気をまとったナナリは酷く食事に陶酔しているらしかった。
「ナナリ汚いなぁ」
そして同時に愛おしい。
乾いた笑いを漏らしながら、汚れた髪を優しく撫でてやるとナナリは何かに浮かされたように彼の口内を犯し始めた。先ほどとなんら変わりない潤いを含んだ音がこんどは卑猥に響き渡る。
きっと私もあの血生臭い肉片と同じようなものなのだろうな。
そう思いつつ彼は情事に夢中な獣にその身を預け暗く静かな運命に落ちていった。

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