●愛してる依存症


「ねぇ、あたしのこと、好き?」
「好きだよ、りこのこと好きだ」
好きだけじゃ物足りない。
「愛してるっていって?」
「愛してるよ」
「ふふっ…あたしも」
愛してる。そう言われて初めて、愛を感じられる。それ以外はどんな言葉も同じに聞こえた。

あたしに好きと言ってくれる人はたくさんいて、老若男女問わずみんながあたしのことを大事にしてくれる。けれど、愛してると言ってくる人はあまりいない。

それまでは、たくさんの人が言ってくれる「好き」という言葉や、あたしに行為を寄せているような行動、その全てにあたしへの愛を感じることができたし、それで満足していた。けれど、たくさんの人に言われることでその言葉やその行為の価値は次第に薄れていった。その代わりに、あまり言われたことのない「愛してる」に憧れを感じるようになった。

「ねぇ、愛してるっていって?」
「うん、愛してるよ」
その後あの人はそう言ってあたしの元を去っていったけれど、いいの。代わりはもう、たくさんいるから。

名前も知らない人があたしに愛してると言ってくれる。姿も見えない人があたしに愛してると言ってくれる。声で聞こえなくても、ただ、愛してるとあたしに伝えてくれるならなんだって構わない。

そこに心があるのかしら…?
でも今はそんなこと、どうでもいいわ。ただ「愛してる」という言葉に価値がある。そんな気がするの…。


〜fin〜

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