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寒い。
寒い。
冬に入り、グッと寒くなったイギリスでは、この前から雪が降り始め、城の外はモノトーンと空の青が主になっている。
雪が降り積もっていると外に出たくなる。
そんな私の思考回路はみんなより幼いと判断されるらしい。
ザクザクと真新しい真っ白な雪を踏み潰しながら城の外を歩いていく。
でもさすがに寒いな。
ちょうどハグリッドの小屋が近い。
暖炉でぬくぬくして、ファングにもふもふすれば暖かいだろう。
ハグリッドはノックするとすぐ開けてくれた。
「リカが一人なんて珍しいじゃねぇか。他の連中はどうしたんだ?」
「皆クィディッチの練習。雪が珍しくてはしゃいじゃった。」
ファングに抱きつきながら言うと、
ハグリッドは誰もいないのに耳打ちしてきた。
「今日はファングより綺麗な生きもんがいる。ヒッポグリフだ」
そういって指差された方を見ると、上半身は美しい羽毛に鷲の頭。下半身は馬といった、銀色のヒッポグリフが横たわっていた。
「綺麗っ」
その綺麗さに誘われて、いつか習った方法でヒッポグリフに近づく。
大人しい子みたいで、すぐお辞儀を返してくれた。
「バックビークってんだ綺麗だろ?」
ハグリッドに頷き、嘴をなでてやると、顔を擦り寄せてくる。
可愛い。
最後にバックビークにぎゅうっと抱きつくと、ハグリッドの小屋をあとにした。
バックビークが追って来ようとしたけど、だめ、と言うとちゃんと言うことを聞く。しかも着いてこようとするところが可愛い。
来た道をザクザク音を立てて戻る。
途中、雪だるまを見つけた。
欧米風の三段雪だるま。
大きさは両手に乗るくらいの小さめサイズだ。
なんだか可愛くて、でもひとりぼっちじゃ寂しいから、雪兎を作った。
なかなかアンバランスだけどなかなか可愛くできた。
そのかわり手がきんきんに冷えてしまった。早く寮に戻ろう。談話室には誰もいなくて、なのだから当然暖炉もついていない。
しょうがないから部屋に戻ると、同室のアンジェリーナは居なかった。
代わりにいたのは毛布にくるまったでかい赤毛。
「さぁリカ!カmっいたいっ」
ストライク!
なげた時計は露出狂の変質者よろしく毛布を広げたジョージの頭にクリーンヒットした。
こっちの心境は全くわからないであろうジョージは不満の声をあげる。
ごめんね。なんか条件反射で。
「どこいってたんだ?」
「いろいろ。寒かったけど暖かかった。」
ジョージは不思議そうな顔をしながらもそっか、と優しく笑った。
「暖かかったって。過去形?」
そりゃ外よりは暖かいけどハグリッドの小屋より寒い。
そういうと、ジョージは優しい目をして、
「おいで。」
穏やかに微笑んだ。
なんだか心臓がどきどきして、でも言われたとおり近づくと、
ぼすんと、ジョージの腕に、包まれる。ジョージの暖かい温もりと毛布のふわふわ。
あったかい。
を、少し通りすぎそう。
胸に押し付けられたほっぺは完熟林檎。
(冷たっ手なんて氷だ)
そういって私の手を包み込んだ吐息に
溶けるどころか蒸発しそう
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