7. その笑顔は反則だから

笑顔。

そういうと、大体の人が思い浮かべるのは、満面の笑みじゃないかと思う。

でも私のばあい、

思い浮かぶのはニヤニヤ意地悪そうな笑いだ。
消して私がMなわけではない。
そういうので偏見を持っているわけではないが、私はそういう趣味はもっていない。

それでもニヤニヤ笑いが浮かぶのは、単に好きな人の笑い方がニヤニヤしてるからだ。

でも、それはこっちの一方的な片想いだし、寮も、私はレイブンクロー、彼はグリフィンドール。
学年も私が一つ上と、全く接点がない。

つまり、この恋が叶う可能性も、ない。


惚れたきっかけはクィディッチの試合。
レイブンクローの観客席にしかも私の頭上にブラッジャーが飛んできたとき、ジョージが矢のように飛んできて、弾き返してくれた。
おまけにジョージは顔がいい。ときめかなければ女じゃない。と思う。

試合はグリフィンドールの勝ち。
目は自然にジョージをおっていた。
輝くような笑顔。


そして追い討ちのように、

試合が終わって寮に戻ろうとしたとこをユニフォーム姿で追いかけてきた。

「さっき、ブラッジャー大丈夫だった?」

「あ、うんっあ、あ、有り難うっ」


「よかった。」


一瞬しかその視界に写らなかっただろう。それでもここまで追ってきてくれた。
優しい人。


それが第一印象だったのに。



ジョージを目で追うようになって、まず気付いたのがあのニヤニヤ笑い。
悪戯を仕掛けてはニヤニヤ。
人をからかってはニヤニヤ。

あの輝くような笑顔は私には絶対に向けられない。

し、多分クィディッチ意外でニヤニヤ笑い以外の笑顔なんて見せないだろう。





箒に乗るのが苦手な私にとって飛行術の時間はは憂鬱だ。
苦手だからといって真面目に受けないわけにもいかない。
レイブンクロー生として。

チョウにたまに教わっているのだが……



(ドタキャンとかふざけんなっ……!)



何がイケメンの彼氏だ。嫌みか。
箒をもってぽつんと広場にいる姿はさぞかし異様だろう。

「あれ?君はリカだよな。あの時は悪かった」

そう言って駆け寄ってきた赤毛。
多分この人は……


「じ、ジョージ!?あ、あの時の事は気にしてないよっ」


お、覚えててくれた!
名前まで!

「箒?飛ばないの?」

不意に右手にもっている箒を指差された。

事情を話すととたんにあのニヤニヤ笑い。


「じゃぁ、」

ニヤニヤしたまま立ち上がると、ジョージがアクシオと自身の箒呼んだ。


「俺が教えて差し上げましょうか?」


……え?

信じられない。
この前まで全く接点も皆無だったのに。


「で、でも、私ほんとに箒下手なのっ自分じゃほんとにバランス保てなくてっ」

なら……と、ジョージはおもむろに箒に跨がり、

私をジョージの前に乗せた
行きなり密着したジョージの胸板と、耳にかかる吐息で自分でも解るくらいにまっかになる。

「いきますよ」

えっ、と、抗議の声をあげる暇なく一気に高度をあげる。

恐い恐い恐い恐い恐い!


行きなりのことにぎゅうっと目閉じるが上からは優しい声で目を開けてと言われる。


恐る恐る目を開けると……


「……!!」


綺麗すぎて言葉を失う。
夕焼け空。

心が温かくなるような綺麗な珊瑚色。

「すごい……」

「だろ?」

ジョージの声は得意気だ。


「この色はすぐ終わっちゃうから、無理矢理になった。怖がらせてごめん。」

「ううんっすごい……ありがとうっ」

恐いと思ったのはもう忘れた。
ふとジョージをみると、


照れたようなそれでいて爽やかで、優しげな、何とも言えない魅力的な笑顔をしていて。


(え、ちょっとまってなにその顔!)


見たことないよそんな穏やかな笑い方。



そんなのみたら




もう








「その笑顔は反則だから」

(もっと好きになってしまう)








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お題提供「確かに恋だった。」さんから

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