まんじゅしゃげ
「変わった形の花だな」
細い花がいくつか集まったような。
「彼岸花と言うのです。曼珠沙華ともいいますね。」
葉が無く、スッと伸びる姿は洗練された美しさを感じる。
「美しいでしょう?そのまま食べると毒があり、死に至りますが、きちんと処理をすると薬草になるのです。そのことから、異名は他に『死人花』『地獄花』なんてのもあったり、一方、縁起の良い花で悪を遠ざけるとも言われています」
「へぇ、面白いな。」
「まぁ悪戯には向かないかもしれませんね」
くすくすと、ジョージよりいくらか低い位置にいる日本人の魔女は楽しそうに笑って言う
「悪戯じゃないぞ?これはビジネスだ」
そういっても楽しそうににこにこしている。
日本の薬草も取引の対象にするといったときのリカの顔を見たとき、不安に思ったのだが、
予感は的中したようだ。
「すみません。楽しくて。花言葉は『悲しい思い出』」
一瞬、ジョージの肩が震える
一年前、相方を失ったのを思い出したのだろうか
悪いことをしたかな、と、思う。
ごめんなさいと心のなかで呟き一本拝借する。
その真っ赤な花を差し出して
「もう一つは、『また会うのを楽しみに』」
きっと、また。
その大きな琥珀の瞳が見開かれる。
――そして
『想うのはあなた一人だけ』
どんなに悲しい思い出を抱えていても貴方だけを想っていますよ。
花言葉を知ったときにこれなんて双子!って思っちゃったんだ!
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