4/1 Happy Birthday

4月1日

エイプリルフール

四月馬鹿

日本では日頃の不義理を侘びる日。
らしい。


そして愛する問題児の誕生日だ。


そんな日の夜。
その問題児の一人は地図を片手に走っていた。
一人で。
何枚かの羊皮紙をもって。





人気者の問題児二人組は、暇があればプレゼントを貰っていた。


授業の合間も、
食事のときも。


つまり私が渡す暇がない。
そんなことってあるかよ。
始めに渡したい!二人っきりで!っていう乙女心なんて皆わかっちゃくれない。
ガン無視だ。

こう、必然的に二人っきりになれるような、それでいて遊び心のある……





そして思い付いたのが、

『宝探し』

だ。

小さい頃やったことはないだろうか。
目的の"宝"のありかが書いてある紙をどこかに隠し、その紙がどこにあるかを書いた紙をまた隠し、そうしていって、相手に"宝"を探させるゲーム。



"宝"をきちんと誕生日のうちに見つけてくれればいいんだけど。






授業が終わり、部屋に戻るベッドの隣の台に羊皮紙がおいてある。

ひらくと、

『談話室の観葉植物の下』と書いてある。

確実にリカの時。
独特のコロッとした可愛らしい字。

談話室の観葉植物の下……?
取り敢えず階段を降り、談話室に入る。
観葉植物は鉢に植えてある。
杖を降ってどかすと、また羊皮紙が出てきた。

ひらくと、

『555 33 8 8 33 777』

意味不明。

確実に、確実にリカの時なんだが。

「意味わかんねぇ!」

手っ取り早くメールで聞こう、そう思ってメールを制作していて、

「あ。そうか。」

数字の羅列の意味がわかり、設定はアルファベットのままで数字の通りうちこむと、

l-e-t-t-e-r

letter

つまり、

「梟小屋か!」

たのしくなってきた。
ここで正解を聞くのはもったいない。

急いで梟小屋にいく。

途中で話しかけられたが断った。
次はなんだろう。


梟小屋につくが、なにもなかった。
あれ。間違えたか……?

そう思ったときだ。
茶色い大きな梟が体当たりしてきた。

「なんだよお前!」

足についている羊皮紙を開くと

『窓を開けて』

言われたいや、書かれた通り、窓を開ける。
大した変化はない。
あれ、と思って見回すと、

あった。

窓から少し下がった所に、箒が浮かんでいた。
しかも俺の。

「乗れと。」

よく見ればまた羊皮紙がぶら下がっている。

窓から飛び降り、箒に跨がり、羊皮紙をみる。


『箒は元の場所にもどして!』

次は箒小屋だ。


空はいつのまにか珊瑚色。後数分で日がくれる。


クィディッチの選手なのだ。箒は得意。

走るより随分早く目的地に着いた。

持ち出す前はこの箒があったであろう場所にまた羊皮紙。


『ユニフォームをぐちゃぐちゃにする天才ビーダーな貴方におとどけものです。』

また梟?
いや、同じネタはない。
ならビーダーやらユニフォーム云々に注目すると。

「俺の選手ロッカー?」

選手用に用意されている更衣室の中の自分のロッカーをあけると。

いつもぐちゃぐちゃに置いてある用具やユニホームが綺麗に整頓され、とん、と然程大きくない箱と、その上にラッピングされた小さなカップケーキが。


カップケーキにはチョコで『私を食べて』
と書いてある。

不思議の国のアリスよろしく躊躇なくかぶり付き、全部食べると、カップの底に何か書いてある。


『もう星がきれいな時間。その箱も一緒だよ。』

つまり、
天文台に箱持っていけと。
天文台までなら箒でいった方が早く、フィルチに会う確率が少ない。


天文台につくと、
リカがいた。

天文台には不釣り合いな小綺麗なテーブルに椅子が二脚、その一方に座っている。

しかし、


「眠ってやがる。」

苦労してここまで来たのに仕組んだ本人は爆睡。

「可愛いなー写真撮ってやろ」

携帯を取り出し、カメラ昨日で撮る。マグル仕様だから動かないけど。


「んん……」

カメラの音で目を醒ましたらしい。
リカが起き上がる。
寝起きは相当悪いのに。
浅い眠りだったらしい。

「お待たせ」

もう一方の椅子に座り、言うと嬉しそうに笑う。

「うん。あ、箱持ってきた?」

ああ、と返事をしてテーブルに置くと、リカが包みを開ける。
中にはケーキが2ピース。
俺の文にはチョコのプレートに『Happy Birthday』と書いてある。

杖を振り、ティーセットを出し、紅茶を注ぐ。

「HappyBirthday!」

そうやって満面の笑みで言うんだもん。
くっそ可愛い。

「手の込んだプレゼントありがとう。」

「あ、まだだよプレゼントは!」

そういってリカはラッピングされた箱を差し出す。
気に入るかは分かんないけど、なんていいながら。
開けるのは部屋で。と言われたので今は我慢だ。

それからケーキを食べ終わりテーブルと椅子とティーセットを片付ける。


「なあ、もう遅い。フィルチに見つかると面倒だし、箒乗れよ。」

勿論下心込みだ。

リカを自分の前横向きにに乗せて、半ば抱きしめるように箒の柄を持つ。

思ったより顔が近い。
案の定リカの顔は真っ赤だ。
可愛い。

いくよ。と囁いてやるとびくっと震えた。
可愛い。

リカは横向きに座っているため俺にしがみつくしか持つ場所がない。
よっしゃ。


「空が綺麗。」

真っ赤な顔でつぶやく。
確かにすっかり日が落ち、星がキラキラ輝いている。

「そうだな。リカ今日はありがとな。」
「あ、どういたしまして。楽しめた?」

「そりゃぁもう。」


たっぷりたっぷり空で空中散歩をたのしんだ。
女子寮のリカの部屋に行く前、キスしたら真っ赤になりながら応えてくれた。
最高だ。










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双子まじおめでとう!
プレゼントはご想像におまかせします

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