手紙

リカが俺らの家に来ることになった。

ついでにハリーも。



「相棒。リカの住所しってるか?」

そう聞いてきたのは双子の兄弟だ。
七人の兄弟と両親。

9人の大家族のなかでも、俺らを正確に判別できるのはお互いだけだ。

なので俺に聞いてきたのはフレッドのほう。


「知ってるけど。何?」

双子と言えども別人。
お互いの気持ちが解る訳じゃない。


「ハリーくんに我らのママが手紙を出したそうじゃないか。リカにだって出すべきだろ?」


そういいながら自分と同じ顔がニヤリと笑う。
その顔でフレッドが言わんとしていることが分かった。
別人といえども双子。
思っていることが通じることは少なくない。

「OK、相棒。そりゃとびっきりの挨拶しなくちゃなぁ」


言わばドッキリだ。

今さら色々仕組んでいる暇はないので、今家にあるもので間に合わせる事になった。


文面は母ならこう書くであろう。
というのを二人で考えた。 "親愛なるサイトウ一家様

リカがお話ししたかと思いますが。
クィディッチワールドカップの決勝戦が月曜日の夜に行われます。
リカから、ご両親の許可はすでに頂いたと聞いています。"


と、こんなものか。


羽ペンを置くとフレッドが空かさず何か書き足した。

"夜の方も充実するかと"


「なにやってんだよバカ!」

書いてい途中で羽ペンを取り上げ、つい大声で対抗してしまう。

すると母が喧嘩したのかと思ったのかなにしてるのー何て言いながらドタドタと階段を登る音がする。

ヤバい!

口を閉じ、フレッドが書いた一文に打ち消し線をいれ、


"なに書いてんだよ。フレッド。吊るすぞ。"


さっきの筆跡よりだいぶ殴り書きになる。
俺が書いたのをみるとフレッドがさっと羽ペンを取り上げ、書き足す。


"今年中には食っちまえ"


ニヤニヤと笑いながら書くフレッドからペンを奪い取り、また打ち消し線を入れる。

食っちまえってお前なぁ!
あんだけ初なリカとそんな場面になったら……てそうじゃなくて!

想像してしまって顔が赤くなる。

「想像したか」

ニヤニヤしながらフレッドが聞いてきたから、手紙の続きに大きく黙れと書いてしまった。
それからは筆談での口喧嘩が延々と続く。

お互いの気がすみ、冷静になると手紙がすごいことになっている。

これを出すわけには「まぁいいか。」


フレッドが俺の制止なんて気にもせず、準備してあった封筒に入れ、封をした。

さきに花火の仕掛けもしてあり、封を切ると花火が飛び出してしまう。


「一歩遅かったな。相棒。」

相棒がぽんと肩に手をおいているが、左手はピンと親指を立てている。

お前な。



リカの父親なんかに見られたらどうしよう。





そんな心配は無用だったのだが、それはリカが来るまでわからないことだ。










「ジョージ……?私、ジョージになら…………いい……よ」


自身の布団の中から躊躇いながらも、芯の通った声がする。

自分の顔が赤くなるのがわかる。



そして、




「キモい物真似してんじゃねえええ!!!」

「なぁ、想像した!?」

「だ ま れ」



リカが来るまでの間フレッドにからかわれたのは言うまでもない。















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悪戯だったら二人でやるけど恋愛関係になるとジョージがからかわれる側だと嬉しい。私が。

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