The 23th mischief

ホグズミードで又一段と仲良くなったふたりは一段と一緒にいる時間が長くなり、1段と距離が近くなった。

物理的にも。

正確に言えば文化的に男女間の距離がもともと近いジョージが、
恋人か否かという問題がなくなった分距離を詰めたのである。

そんな恋人期間はつかの間。
ホグズミード行きが終わるとクリスマス休暇がある。
いわゆる冬休みだ。

「ジョージはクリスマスは家だよね。」
「ああ。サヤは?日本?」
「ううん、私は残るよ。」

正直両親や友人のいる日本に帰りたいけれど、
もう両親には伝えてしまったので今更変えられない。
城内で不思議な生物と戯れながら暇つぶしするしかないのだ、

「ハァイ」

その時鈴がなるような綺麗な声がした。
振り向くとハッとするような美人がピンと背筋を伸ばして立っていた。
ミランダである。

彼女はつかつかとサヤたちの間に入り、
綺麗な眉を困ったように八の字に歪ませる。

「サヤ、先謝っとくわ。ごめんね。」

そう言ってジョージの少し高い位置にあるネクタイをクイッと引っ張ると、
音もせず、静かに唇を合わせた。

「っ…っ何してんだお前っ」

突然のことにジョージは勢い良くミランダを解き放し、
よろけた彼女をサヤが支える。
たった今自分の彼氏に接吻という
それなりの異性間の思いがあって成り立つ行為を目の前でされ、
正直よろめきたいのはサヤの方である。

「み、ミランダ?貴女なにやってるの」

「うん、うん。…私完全に二人の恋路を邪魔する悪者じゃない。
わかってる。わかってるんだけどさぁ、」

流石にちょっとショックかも。
うつむき加減でそういう彼女の顔は
後ろから支えるサヤにも上から見下ろしているジョージにも見えないが、
声から想像するに、きっとハの字眉のままだろう。
しかし今ショックでハの字眉になりたいのはサヤとジョージの方も同じだ。

「ぶっちゃけ言うとさ、サヤより私の方が確実に顔はいいのよ?
それで何もせずに諦めるなんてできないのよ。あぁ私今すごく身勝手!
でも、でも、私この子よりずっと長い間貴方のこと好きだったんだから!」

涙目になりながらジョージに向かって吐き出す彼女は女であるサヤからみても可愛らしいと感じる。
きっとこんな必死になって好きだなんていってくれる人、
彼の人生の中で彼女だけだろう。

「あー…その…ごめん。それでも俺が好きなのはサヤだ」
「ええ、知ってるわよ。
突き飛ばされてここまで言われてそれでも食い下がるほどかっこ悪い人間になりたくなしもの。
既にもう随分かっこ悪いけどね。
ごめんなさい、サヤ。
私ここまでされないと諦められないみたいで」

正直びっくりして、よくまぁそんな簡単にちゅっちゅできるなぁ
と半ば他人事のように思って成り行きを見ていたサヤは、
置いてきぼりにされつつも当事者なのであって、
ここは怒るべきところなのかもしれないが、

「……ううん」

――それでも俺が好きなのはサヤだ

その一言に比べればあまりにも些細なことだった












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