でも転んだら、受け止めてほしい。
いきなりというか今更だが。
私は一部の女子に疎まれている。
全員じゃない。
あくまで一部だ。
基本明るいし人見知りもしないし争い事も嫌いでしないので、嫌われることは少ないのだが。
嫌われているグループには必ずジョージのことが好きな人がいるのだ。
そりゃあれだけ付きまとっていたら当たり前だろう。
教科書の間にカッターの刃が仕込まれるとか、トイレに呼び出されるとか、そんなベタな、漫画やドラマみたいな事をされたことは一度もない。
女の子の人間関係はそんなに単純ではないし、分かりやすいものじゃない。
ただ、話しかけても無視、クスクスと嘲られ陰口を言われるだけだ。
生きて入ればそういうことをされるのは誰でもあるだろう。
ただ全寮性で学年の隔たりが少ないホグワーツだと規模が大きいというだけだ。
それに加えて最近はジョージの方からからかってきたり話しかけてきたりもするようになったのだ。
無視の数は増え、陰口の声は大きくなる。
比例して蓄積されるストレスの量も増える。
「ぬぬん!あらあああんウィーズリーくんじゃぁありませんか!」
そしてこうしてそのストレスが発散されるわけだけど。
「落ち着けサヤ。人間にもどれ。」
「なっ人間じゃなければなんだってんだ!こんなにウィーズリーくんに欲情してるのに!」
「牛かな。鼻息的な意味で。いや、トロールか。そしてフレッドはやめとけ。」
「貴方のことだもんってトロールはひどいかな!流石に!」
「ごめんて。トロールはないね。人語喋るし。」
「そこ!?」
「人の名前もおぼえてないじゃないか」
「覚えてます!」
この流れは確実にからかわれる流れだ。
名前の話になるとウィーズリーくんはいつもこの流れにするのだ。
「俺のファーストネームは?」
「じ、じ、ジョージくん。」
「よく言えました。」
そういってニッと笑う。
最近はこういうやり取りも増え、少しくすぐったい。
「そういや俺、今呼び出されてるんだ。」
「今日はどの先生に?」
「いや、先生じゃなくて、まだ時間あるしサヤもこいよ。暇だから」
「そうなの?珍しい。」
そうして、二人でまたからかい合いながら湖のほとりにいく。
湖は光が反射してキラキラ光っていてきれいだ。
湖の脇には、待ち合わせ相手の。
女の子がいた。
ああ、そういうこと。
「あ、もういるじゃん。ごめんな。サヤ。無駄足踏ませた。」
「ううん。じゃ、」
「お前は来ないのかよ」
気づかないのか。
どんだけ鈍感なんだ。
「ウィーズリーくんが呼ばれたんだから一人でいきなよー。私はそれ見てアフレコしてるから。」
そういって背中を押す。
私の力じゃ高い背のウィーズリーくんは一歩も動かなかったけど、少し離れたとこに移動すると、足をすすめた。
「公認ストーカー」(私は、貴方のことが好きです。)
(ありがとう。でも恋人にはなれない。)
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