変態だけどヒト科のメスなわけで。
柔らかい形のいい唇。
びっくりした。
びっくりするほど、
何も感じなかった。
唇がはなれて、
ちょっと困ったような目で見てくる私の、
私の、
「つまり、妹だと思ってたつもりなんだけど、僕はサヤに恋をしていた。」
元兄貴分。
でも私のなかでは完璧に兄という存在で、
だからこそ何も感じなかった。
だって兄のような存在だから。
ドキドキもムラムラもしてこない。
ただびっくりするだけだった。
そしてびっくりしていたのが理由で、
「セド、私に好きな人いるの知ってるでしょう?」
「好きだからストーカーしてるんだろう?」
「じゃぁなんで?」
「サヤはあいつと付き合う気はないんだろう?望みがないから、なら、僕の方に来ないかなって。」
「それは「ダメだ。」
第三者がいることに、気がつかなかったのだ。
身長192センチグリフィンドール生学園始まって以来のとある二人の問題児と肩を並べる問題児の片割れの存在に。
「う、ウィーズリー君!?」
さっきまで全くの通常値だった心拍数が急に増加し、
顔、いや体が熱くなる。
なんでなんでなんでここにいる!?
「やっぱ違うんだね。」
セドが呟く。
違う。
そう違うのだ。
「うん。正直、セドのキスはドキドキもムラムラもしn「ムラムラいうな」
そこで突っ込みが入る。
「ちょっと、ショックだな。」
そして臆せず続けるセド。
流石すぎる。
「じゃ、フラれた僕はもう行くね。」
そういって爽やかに去っていく。
残った、いや、残されてしまった。
意図的に。
「あの、どこから……」
「お前とディゴリーが店から出たとこ」
全てでした。
全部。キスから全部でした。
「質問いいかい?」
「どうぞ。」
「会話からするとお前が好きなのって……俺?」
この台詞だけだとどんだけ自意識過剰なんだって台詞だが。
聞かれていたのだ。
正直に答えるしかない。
『はい。』
「英語で」
「…………Yes.」
「質問2」
「まだあるの!?」
「付き合う気はないって言うのは?」
スルーされた!
見事にスルースキル発動しやがった!
「聞いてたならわかるでしょ?望みがないから」
「なんで」
なんでって、
「……お、女の子として認識されてないと思った。」
そういうとウィーズリー君は、はぁとため息をついて、私の頭を撫でた。
ドキドキする。
ムラムラ……いや自重しとく。
セドのキスよりずっとだ。
「男がそんな真っ赤になってたらキモいだけだろ」
「お前はキモいけど、でも、
俺は可愛いと思う。」
「公認ストーカー」(ムラムラす(シャラップ)……)
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