The 4th mischief

「サヤ、付いてきて!」
授業が終わると制服から私服に着替えたアンジェリーナに真っ先にそう言われ、グラウンドに出た。

「何をやるの?」

「もちろん、クィディッチよ!」

アンジェリーナは杖を振って箒を呼び寄せた。

「クィディッチ!?私、出来ないよ?」

「あら、そうなの?残念。これから練習なんだけど……見ない?」


日本でもクィディッチは活発に行われ、魔法使いの大半は好きである。
その大半に私も漏れていない。


「もちろんみる!アンジェリーナが選手だったなんて!」


思わぬ発覚に胸踊らせていると、後ろから声がかかる。


「お嬢さん」

「俺らを忘れてもらっちゃぁ困るなぁ」


振り向くと、瓜二つの赤毛の青年が二人。


「二人も選手なの?」


「ああそうさ。」
「ポジションはどこだと思う?」



「……ビーダー?」



「「当たり!!」」


そう言うと二人は箒に乗って飛び上がり、後から別の選手も飛び出してくる。

選手達は空中を弾丸のように飛び回る。

「サヤ!ブラッジャーを飛ばしてくれ」

そう叫んだのは上級生の、たしか、オリバーだ。

ボールが入った箱に駆け寄り、開けると鎖に縛られつつももがくように動くボールが二つ。
その内のひとつを鎖から解放すると、勢いよく飛び上がったと思うと、行きなり進路を変えた。

それを期に、選手が一斉に動き出す。



アンジェリーナにクワッフルを渡し、私は客席に座ることにした。


アンジェリーナや他の選手はクワッフルでパスとシュートの練習。
縦横無尽に空を駆け抜け、アイコンタクトを取りながらボールを回し、そしてシュートする。
そのボールをキーパーのオリバーが冷静に防ぐ。


カッコイイ。

私は日本でもある大会の試合や、学校の試合を見るだけだったが、練習を見ると、その技をまざまざと見せつけられる。


が、そんな選手の中に不規則に動き回りながら激突する影があった。

ブラッジャーだ。


暴れ玉がそれまでとっていた陣形を掻き乱し、アンジェリーナに突っ込んでくる。

アンジェリーナは気づかない。
危ないと思った瞬間暴れ玉が方向転換した。

暴れ玉が自分で動いたのではない。
アンジェリーナのそばにはフレッドが立ちはだかっていた。

互いに目を会わせることなく、しかし拳同士をぶつける仕草をしたのが目に入った。


「すごい……」



日本でも大会はあるが、やはり本場は違う。

さっきまで話していた友人が“選手”になっていた。
思わず見惚れていたからだろう。
フレッドが弾いた暴れ玉がまた方向をかえ自分の方にかって来たのに気がつかなかった。

「サヤ!」

アンジェリーナの声が聞こえたときにはもう遅い。

咄嗟に目をつむる


しかし、痛くない。
目を開けると琥珀の瞳が心配そうにこちらを向いていてその腕は私の肩を守るように抱いていた。

「じ、ジョージ?」

「当たり。怪我は無い?」

ジョージがブラッジャーを打ち返したらしい。

「あ、うん。大丈夫。ありがとう」

お礼を言うと頭を撫でられ、颯爽とチームに戻っていった。




どくんどくんと鼓動が早い。

心配そうな琥珀の瞳を思い出した瞬間顔が火照った。





練習を終えた選手にタオルを渡す。
最後に黒髪の丸眼鏡の子に渡すとあることに気が付いた。


「貴方……ハリー・ポッター?」


額に稲妻型の傷がある。


「そうだよ。君は?」

「あ、私はサヤ サトウよろしくね」

うん。といって笑った生き残った男の子は、普通の男の子にみえた。


「アンジェリーナと同い年だから、ハリーよりお姉さんだよ」


「うそ!」


「うそじゃない!」


サヤは小さいから。と良いながら謝るハリーはさらに傷を深くしてると気づいていない。

少しふてくされながらも選手をロッカー室に見送った。





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