The 21th mischief

日本にいた頃は見たこともない銀世界をざくざくと意図的にに音をたてて歩く。

まっしろでまっ平らな白い景色に足で踏んだところから水縹色が足されていくのは思ったより楽しい。

しかし、私ばかりが楽しさにかまけている場合ではない。
ジョージはミランダとここに来ているのだ。
つまり私にはミランダ以上にジョージを楽しませると言うミッションがある。


「えっと、どこいこうか?」


「あーゾンコの悪戯専門店なんてどうだ?」


そういえばジョージは初日のホグズミートいきで何個か悪戯用品を買ってきていた。

トローチや騙し杖や見たことのない玩具まで机に山のように重なっていたのを覚えてる。



店に着くとホグワーツの生徒であふれかえっていた。
混雑していてはぐれてしまいそうになる。
ただ今回ばかりはこの人混みに心からありがとうと言いたい。
自然にジョージにくっつくことに成功したのである。


「これなんてどうだ?ゲーゲートローチ!」

トローチが入った箱をジョージが差し出す。

スネイプに食べさせたいことこの上なし。なんて小さく呟くと、ジョージはマルフォイもありだな。何て呟く。

口の端がくいっと上げて笑っていうのが悪戯っこぽくて可愛くて、つい吹き出して、音をたてて笑ってしまう。


「そうすればクィディッチも楽に勝てそうなのになぁ」


何を言っているんだこやつは。
スポーツと言うものは、勝てれば嬉しい物で、その為に各々が努力するのだと思う。

つまり試合に勝つことはそのための努力量も多くて然るべきなのだ。
楽して勝とうと言うのはサヤにとってあり得ないのである。


「ばーか」


相違って油断しているジョージからトローチをさっと奪う。
少し垂れた琥珀の目が真ん丸になった。

「そんなことしなくても勝てるよ。ばか」

そういうと嬉しそうに目を細められて、なんだか胸の奥がふわふわした。






ゾンコをでると冷たい空気が肌を指した。
室内と外では気温差が激しく、急な温度の変化にからだが小さく震えた。


道が開けると広場のようになっていて、ベンチが幾つか並んでいる。
その一つに腰かけると、普段は大きな身長差も少し小さくなる。


「楽しい?」
「そりゃもう」


ミッションは達成できたのかは分からないが、それでもジョージが笑顔だったから失敗はしてないのだろうと検討をつける。


「よかったー」

「サヤがいるんだから楽しくないわけないさ」

「またまた。」

「ほんとだって」



サヤと一緒だから、楽しい。


そんなこと

ふざけてる様子なんてこれっぽっちもない瞳で言うなんて。


金縛りにあったように動けなくなったサヤをよそに琥珀の瞳が近づいてきて、目をつむると暗い闇の中、唇がふわりと熱を持った。




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