The first mischief

ドアの向こうで歓声が上がってる。
大広間で、一年生の組分けをしているのだ。

ホグワーツ魔法魔術学校では、個人の能力によって入る寮を決められるときいた。

歓声が静まり、校長の声が響く。


「して、皆に知らせがある。遥か東の国から、我が校に留学生が来ておる。日本から来た、ミス・サトウじゃ。」

目の前の重い扉が開き、皆の視線がこちらに向けられる。

生徒が座っているテーブルの間を歩くと、空から桜の花びらが降ってきた。

校長が施した演出だろう。

古びた帽子の前にある椅子に座ると、その古びた帽子を頭に被せられる。

「ふむ……日の本の国のものか……」

帽子が喋った。
付喪神の一種だろうか。

「ほう……さでどの寮に入れたものか……」

スリザリンは狡猾さ
レイブンクローは叡知、
ハッフルパフは心の優しさ
グリフィンドールは勇敢さ

寮が重んじていることと個人が重んじていること。
それらが重なると寮が決まるらしい。

私は……


「グリフィンドール!!」



勇気がほしい。













とはいったものの、こんなところで早々道に迷っているなんて。
さっきまでアンジェリーナと一緒にいたのに。


「何してるんだ?」

辺りを見回していると話しかけてきたのは赤毛で長身のウィーズリー家の双子の片割れ。
天の助けだ。日頃の行いが良いのかもしれない。

まだ見分けは付かないが二人とも悪戯好きの同級生だ。

「道に迷っちゃって……」
「ああ、ここは道が複雑だから、着いてこい。談話室まで案内してやるよ。」

「ありがとうっ……えっと……」

「ジョージだよ。」


「ごめん。ありがとう。ジョージ。」


「どういたしまして。あと、気にしてないさ。ママでさえ間違えるんだ。」


そういわれて納得する。
それほどまでにそっくりな双子を、私が見分けられるはずがない。

談話室に帰りながら、少し構内を案内してくれた。
知らなければこれから大変だろうなんていって、単純な私は優しいんだなと感心する。
ここに抜け道があって、とか、ここによくフィルチがいるとか、そういう情報がたくさん出てくるのが彼らしい。

「優しいんだね。ありがとう。」

改めてそういうと、別に大したことしてないさ、と、少し照れながらいう彼を可愛いと思ったのは内緒だ。




談話室に帰るとアンジェリーナが待ち構えていた。

アフリカ系のカッコイイお姉さんという雰囲気の女の子。
フレッドといい仲というやつらしい。

「いきなりいなくなるから心配したのよ!!」

「ご、ごめん。ジョージが案内してくれたの」

「知り合いに見つけられて良かったわっ!」

ほんとうに。
なんでここを作った人はこんな迷路みたいにしたのだろう。
ジョージがいなかったらきっといつまでも帰ることはできなかった。

良かったーとアンジェリーナに抱きつかれながら、先程のジョージを思い出し、笑みがこぼれた。














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