The 15th mischief

もっと先だと思っていたホグズミードは意外にもすぐそこだった。

「十月末…」

まぁ確かに冬と言えば冬だけど、

今月じゃないか。


そうだ。今のうちにジョージを誘っておこう。

今の私には手強すぎるライバルがいるんだから。



クィディッチの練習に付いていき、みんなにタオルを渡したあと、お目当ての赤毛をさがす。

二つ並んだ赤い頭の、比較的口を開いていない方、

二人が別れて、お喋りだった方がアンジェリーナに近づく。


もう一人が箒小屋に向かって歩いていく。


「ジョージ」


「あぁ、サヤか。どうした?」


「えっと……ホグズミート……誰かといく予定ある?」


聞くと、あーっといって口ごもる。


「ミランダがこの前誘ってきて……」


ライバルは私の想像以上に手強いらしい。
先手を打たれた。
流石に一緒に行こうとは言えない。


「……じゃ、次は一緒に行こう?」


「もちろん。」


ジョージの笑顔につられて笑うと、頭をくしゃくしゃと撫でられた。
この大きな手に撫でられると胸の奥が疼く。
漫画ならハートマークがついた字できゅんっとか書いてあるかもしれない。

我ながら乙女な画面を想像してしまい、頭を振って脳内の映像を消し去る。


(きゅんってなんだ!きゅんって!!)









当日になってみんなが城から出ていくと、何時も騒がしい大広間も閑散としていた。

なにもすることがなく、廊下を歩いていると、同じように独りで歩いているハリーと会った。


「サヤ!ホグズミードに行かなかったの?」

「ハリーこそ…ロンやハーマイオニーと行ったのかと思った」

「僕は保護者がマグルで、よく理解してくれてなくて…」

「私はまぁ、諸事情で」

アンジェリーナはすでにフレッドといく約束をしていて、アリシアも彼氏さんといくそうだ。
流石に一人でいくのは自分が哀れでしょうがない。


「行きたかったね。」

「うん。」

二人でふらふら歩いていると、
ある部屋の前で呼びとめられた。

ルーピン先生だ。

「中に入らないかい?新しい水魔が手に入ったんだ」

私たちはルーピン先生の部屋に入り、
紅茶をいただいた。

ハリーのクラスは授業でボガードを習ったらしい「私はハリーの恐れているものはヴォルデモート卿だと思ったんだ」

「でも僕はディメンターを思い浮かべました」

ヴォルデモート卿。
日本でだって、魔法界に関わるものなら知らない人はいない名だ。
そしてハリーは、それに死の呪文をかけられ、唯一生き残った男の子。



「私はハリーの母親も父親もよく知ってるけど、サヤ、君の両親のことも知ってるんだよ」

「私の両親ですか?」

私の両親がホグワーツに通っていたという話は聞いたことがない。

「あぁ、ホグワーツに通っていたわけではなくて、サトウ夫妻の新婚旅行の時に会ってね。それがきっかけで仲良くなって、日本の話もたくさん聞いた。二人は、ハリーが生まれる時も立ち会ったんだ。ハリーの両親とも仲が良かった。」

そんなの、初聞きだ。
でもまぁ、ホグワーツに来てから梟に日本まで届けてもらうわけにはいかず、日本には手紙もマグル式でないと出せないため、しょうがないが。


3人の小さなお茶会は、スネイプ先生が薬を持ってくるため乱入し最後がグダグダになって終わってしまった。

薬とは何だったのだろう。




皆がホグズミードから帰ってくると、お土産をたくさん買ってきてくれていた。

でも、その場にジョージはいなかった。

ゾンコの悪戯グッズ、ハニーデュークスのお菓子や可愛いアクセサリー、
アクセサリーも本当にかわいらしいものから意味不明なものまで。
その場に広げる。


「あいつっっ」

お土産を漁っているとフレッドが声をあげた。

目線を追うとジョージと…ミランダ

「サヤ!」

あちらもこっちに気づいたみたいだ。

暗くなりそうな顔を無理やり笑顔にする。

「ジョージ!ホグズミード楽しんできた?」

「ああ、もちろん。」

返事をしながらジョージがミランダと別れ隣に座る。

「次は一緒に行こうな」
「うん。約束!」

そう言って小指を出す。

「?」

ジョージが不思議とうな顔をした。
あぁ、そっか指きりは日本だけだった。

「約束する時の儀式みたいなものだよ。日本の。こうやって小指を絡ませて。"約束破ったら針を飲ますぞ"って意味の歌を歌うの」

「物騒だなっ」


ジョージが笑い、
恭しい態度で冗談を言う。


「しかし、サヤ姫のためなら針位大したことではございません」

バカじゃないの。

冗談とわかっているのに恭しくかしづく姿はさまになっていてつい少しカッコイイと思ってしまった。
重症かもしれない。


小さいころに歌った、実は物騒な歌を歌う。


『指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!ゆびきった!』


嘘ついたら針千本じゃ済ましてあげない。



ショックだったんだから。



それくらい好きになってるんだなって思ってちょっと顔が赤くなるのを感じた。











[ 21/38 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -