The 8th mischief

ジョージの部屋に行く途中、何度も部屋に帰りたくなった。


近づく度に緊張が大きくなる。


曲がり角や階段の踊り場…立ち止まる度に後ろめたい気持ちがこみあがったし、談話室の前を通るときはあのソファで一夜を過ごしたいと思った。



双子の部屋の前でまた躊躇。

フレッドのことだ。
仲直りできなかったらお得意の悪戯を食らわされるんだろう。



それはやだな…



意を決してノックをする。


「フレッドか?どうしたんだアンジェリーナにフラれたか?」



ドア越しに聞くジョージの声。
その声がすごく久しぶりに聞こえる。

さっきそっくりの声を聞いたばかりなのだが。やはりそれとこれとは違う。


フレッドはアンジェリーナのとこに行くといったらしい。

ジョージはフレッドがイチャイチャするために行ったと思ったのだろうか。

いや、あながちまちがってはなさそうだが。



「ちがうよ。私。」あ、声が震えたかも。

ただ、私がきたと聞いてこの一枚の板の向こうでジョージがどんな反応をしているのかきになる。


息を飲む声が聞こえた。

いや、正確には聞こえた気がした。

ドアという分厚い板を挟んでいるのだ。
息を飲む音なんて聞こえない。


「あのね、ジョージに謝りたいの。避けてた……こと……もし怒ってたらそのままでいいから。」


そこまでいって返答を待つ。
反応はない。

これはyesと取って良いのかな…?


謝ろう。そう思って息を吸った。

「ジョージ、あのね、ごめ」



んなさい。


言おうとしたらドアが開いた。


見上げると困った様な顔。


「そんなとこで謝られたら俺が悪いことしてるみたいじゃん。……中、入れよ」



あ、また悪いことした。
ごめん。思ったより小さめの声がでた。

でもジョージは聞き取ったらしい。大きな手が頭を無造作に撫でた。


双子の部屋は悪戯グッズや玩具、花火などで溢れていた。

二人らしい、楽しげな部屋だ。


部屋に入るとベッドに座らされ、ジョージは向かいに座った。


「で、なに?」

ジョージは様子をうかがいながらそう聞いた。


「えっとね、まず……」


ごめんなさい。
きっとジョージにとってはよくわからず避けられて、迷惑をかけたのだろう。


「でもね、避けちゃった理由は、今は内緒にさせてください」「何で?」


「秘密」


「それも?」


「でもいつかきっと話すから」


そう言ったあと、
ペコリとお辞儀をして、


「だから、待っててください」


琥珀の瞳を見ようとすると、手で遮られ、そのままその手は頭の上に落ちてきた。

そのまま頭を撫でられる。

「しょうがないなぁ」

「?」

「結局なにがなんだか全くわからないんだけど」



「う……ごめ「でも、嫌われてたりした訳じゃないんだろう」


少し眉を下げて、困った顔をしながらいうのを見ると、申し訳なく思う。


「もちろん。詳しくは言えないけど、整理がつかなかっただけだから。もう大丈夫」


「良かった。」


ジョージが目を細めていうと、
胸のあたりがとくん、と鳴る。


自然と顔が火照る。「顔赤いぞ??サヤちゃんは照れてるのかっ?可愛いなぁー」

「やめてーっそれ以上言わないでーーーきゃっ」


きゃーと叫びそうになったとたん目の前が真っ暗になった。
抱きつかれたのだ。
そしてそのままあたまをぐりぐりされる。



異性に抱きしめられるのじたいがはじめてで、どうしようもなく顔が赤くなる。


あぁ、もうっ鳴りやめ!心臓うるさい!

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