「リヴァイ班に入りたいの。
入れてください」

「…ダメだ」

「なんで?
私の実力はリヴァイも知ってるでしょう?」

「お前は俺の班には入れられない」

「私のこと、嫌い?」

「……あぁ、嫌いだ」


*


訓練兵の頃から、ずっとリヴァイが好きだった。

リヴァイに振り向いてほしくって、リヴァイより上の成績をとろうとしたけど私はいつだって2番目で、私に注目を集めたのは私より下の成績の奴らばかりだった。

私とリヴァイは同期だ。
1位2位はいつも私とリヴァイだった。

調査兵団に入団してからもリヴァイの近くにいたかったから班に入れてくれと頼んだら断られてしまった。
しかも私の恋心は音をたてて砕け散った。

「あれ、レナが泣いてるなんて珍しいじゃないか。
どうしたの?」

「……ハンジ…?
…わた、し、」

声を押し殺して、泣きながら自室に戻ろうと廊下を歩いていたらハンジに会った。
私は詮が抜けたかのようにわっと声をあげて泣き出してしまった。


落ち着いてからハンジに全部話してみた。
また、涙が出そうになった。

「…ねぇ、それってレナの聞き間違いじゃない?
リヴァイはいっつもレナのことばかり話しているし」

「……え…?」

今の言葉こそ聞き間違いなんじゃないかって思った。
だって訓練兵時代から薄々避けられてるなって、嫌われてるなって、感じてたもん。

「それに好きだってまだ言ってないんでしょ?
だったら振られてはないよ」

普通、嫌いだと言われてこんなポジティブな考えはできるだろうか。

全く、ハンジは何を言っているだろう。
嫌いって言われてしまったんだから私は…、

「ほら、今すぐリヴァイのとこ行かないと、レナの悪い噂たくさん流して調査兵団追い出しちゃうよ?」

「え、ハンジ、それはちょっと強引すぎ…」

「さ、行った行った」

「…っ痛い…」

あんなに背中をバシバシ叩かなくてもいいと思うの。

でもなんか、言わなきゃって思えてきた。
言うだけならタダだもん。
今までの気持ち、全部吐き出して楽になった方がいいに決まってる。

横を見てみれば私に早く行けと笑顔で言うハンジの顔。
溜め息を1つついて、リヴァイの部屋へ引き返した。


「…今度はなんの用だ、レナ」

…目、合わせてくれない。
ずっと書類と睨めっこ。

「あのねリヴァイ、好き」

書類をめくる手が止まる。
ちゃんと聞いてくれてる。
…嬉しいなぁ。

「あのね、好きなの、リヴァイのことが。
私、訓練兵の時からずっと、ずっと」

あ、涙声。

「……やめろ」

「リヴァイが私のこと嫌いでもいい。
好きなの」

がたっと音をたてて椅子から立ち、私の方に歩み寄る。
リヴァイの腕がゆっくりとあがって、あ、殴られるんだ。と思って、怖くて、目をぎゅっとつむった。

しばらくしても痛みはない。

身体を少し引き寄せられて、すぐに心地好い暖かさが私を包んだ。

「……リ、ヴァイ…?」

「…と、思って、」

「なぁに?リヴァイ」

抱きしめられてる。
リヴァイに。
私のことが嫌いだと言ったリヴァイに。
すごく暖かくて、落ち着く。

「任務に支障がでると思って、自分で枷を嵌めたんだ。
恋はしないと。
…でも、ずっと好きだった」

喉が痛くて涙が溢れてきて、リヴァイの体温があまりにも心地好くて、私は夢を見てるんだと思った。

「私のこと、嫌いじゃない?」

「あぁ、好きだ」

「…ねぇ、ねぇリヴァイ、これ、夢じゃ、ないの?」

「夢の方がよかったか?」

「……やだ…っ」


夢じゃないということを噛み締めるように、リヴァイを強く抱き返す。

とっても暖かくて、とっても幸せ。



素直じゃないだけ



「あ、レナ、リヴァイとどうなったの?」

「……ハンジ、好き…」

「あのさ、リヴァイに殺されるから普通にお礼言ってよ」



*



キリ番 400
ゆり様へ。


 


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