「ねぇねぇエレン、ゆっくりゆーっくり"熱中症"って言ってみて?」

「はぁ?
お前、どんな罠仕掛けるつもりだよ」

「ふっふーん、それは言ってからのお楽しみです!」


*


「ねぇほら、言ってみてよー」

サシャから教えてもらった遊び…っていうかエレンのからかい方?

エレンはまだ疑いの眼差しを私に向けてる。
いやあの…そんな眼差し向けなくても普通ちょっと考えれば、ね。
もしかしてエレンってバ…いや、なんでもないデス。

エレンは諦めたかのようにため息を1つついた。

「熱中症?」

「ダメ!
もっとゆぅーっくり!」

「はぁ?」

超面倒臭そう。
そんな目しなくってもね!
ただの遊びじゃんね!

「……ねっちゅーしよう?」

…あ、ヤバい。
思ってた以上に面白い。

エレンはまだこれがなんなのかわかっていない様子。
やっぱりアホの子なんだろうか、アホの子なんだろうな。

「エレンって大胆だね!」

私は笑いを堪えながらエレンにそう言ってやった。
エレンはようやく意味がわかったようで、どんどん顔が赤くなっていってる。

あー、どうしよう、笑いすぎてお腹痛い。


私がもう少しで笑い終わるって頃にエレンは私の前に立ち、私の後ろにある壁に腕をついて私を逃げられなくする。

エレンの顔はもう少しも赤くなくって、私はちょっと不安になった。

「そうだよ、俺、大胆だから、こうやってキスしてもいいよな、レナ?」

耳元で囁かれて、くすぐったくて、怖くて、つい目をつむってしまう。


しばらくしてもエレンはなにもしてこないから、そっと目をあけた。

「仕返し」

目の前には悪戯っ子の様に笑っているエレン。

今度は私の顔がどんどん赤くなってく。

…っなんだこいつ!
なんだこいつ!!
私今スッゴい恥ずかしいんだけど!

ムッとしてエレンを睨んだら怒るなよって、言って頭を撫でられた。

どう見ても怒りを煽ってるようにしか見えませんけどエレンさん!!


悔しかったからエレンの胸倉を掴んで引き寄せて、頬にキスしてやった。

「…仕返し!」

ニッと笑うと、エレンの顔はまた赤くなった。



大胆なんです。



「…じゃあまた仕返しを考えないとな、レナ」

「え、ご、ごめんなさい逃げていいですかエレンさん」

「だーめ。」


 


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