「…ねぇ、アルミーン」
「なに?レナ」
「……ねぇ、ちょっとはこっち向いてよー」
*
猫なんて拾ってくるんじゃなかった。
「見て見てアルミン!
この猫ちゃんってさ、なんだか目が青くってアルミンみたいじゃない?」
「え、猫と一緒にされても…」
「ほらほら、可愛いよ?」
なんて、1時間以上前の会話ですけど。
アルミンのとこに行こうと思って外に出たら目が合ってしまった猫ちゃん。
ちょっとだけ遊んで行こうかな?って近づいたら、アルミンにちょっと似てて可愛かったから連れてきてしまった。
最初はえー、って感じでアルミンはあんまり猫を可愛がってなかったけど、私が猫と遊んでたらアルミンも可愛がってくれた。
嬉しかったけど…、
「ふふ、くすぐったいよ」
指先を舐められて楽しそうにクスクスと無邪気な笑みを浮かべてるアルミン。
私がムッとしたって気づいてくれるわけなくって、おんぶみたいな形で背中に寄り掛かってみたり。
「ねぇ、猫ちゃん可愛い?」
構ってって言おう思ったけど言ったら負けな気がして。
声は100%不機嫌だったけど。ケッ。
でもアルミンはうん、可愛いよって猫を撫でながら言うだけで私の方を見てくれない。
いい加減我慢の限界だって!バカ!!
…とか!
口に出せない私ですけど。
猫にすら勝てないなんてさ、もうアルミンなんて知らないんだから!
なんて、勝手にいじけて勝手にアルミンのベッドにダイブして枕に顔を押し付ける。
流石にこれはちょっと不思議に思ったみたいで、どうしたの?って問い掛けてきた。
でも今更心配されたってね!
って感じで、
「知らないよバーカ」
とか、枕に更に顔を押し付けて足をバタバタさせる。
我ながら子供かっての。
いや、今くらい子供になったって神様はきっと許してくださるよ!
なんて考えてたら、アルミンはさっき猫を撫でてたみたいに私の頭を撫でてきた。
「……猫にばっかり構って、寂しかった?」
バタバタと動かしてた足を止める。
ガバッと顔をあげて私の頭を撫でていたアルミンの手を掴んで指先をチロッと舐める。
「……レナ?」
顔を真っ赤にして、びっくりしてるせいか目をパチパチさせてる可愛いアルミン。
「…あの猫ちゃんより、アルミンを楽しませる自信あるんですけど」
やっぱりあの猫はアルミンに似てないと思う。
猫よりなにより、アルミンが1番可愛いの!
何にも渡せない!
「た、楽しませるって、あの…え?」
「勿論それは…ねぇ?」
「え…え、ちょっとレナ?」
「いやんっアルミンったら赤くなっちゃって可愛い!」
「ニャーォ」
すっかり忘れられた可哀相な猫ちゃん。