一章


土「・・・・・」
『・・・・・』

太「夏芽呼びに行くっていったから待っててみれば!
何堂々と浮気してるの!?」

腕を組み、威勢よく話す彼が見下ろすのは・・・

良「・・・・・・すみません」

一瞬のうちにボロボロになり正座する良

土「・・・おい、誰だあれ」

土方は隣に立つ夏芽の裾を引きながら問う

『太一だよ、良の恋人』
土「ああ、そうか(やっぱりな・・・)」

さして興味もなかったが、なんとなく予想していた返答が帰ってきたため
一人で納得

『太一、そんぐらいにしとけよ、客もいるんだから』

『ね?』と土方の方を向き同意を求める

太「え?あっほんとだ、すみませんうるさくて・・・」

土方の存在にやっと気付き、パッと体勢を整える

土「いや別に・・・(内容は違うが日常茶飯事・・・)」

と、一人日々のストレスを思い出す
すると夏芽は幼子のように無邪気に笑い、ある提案を浮かべる

『そうだ、土方さん、今日宴会するんですけど一緒に飲みませんか?』
土「宴会?てゆうか俺はそもそもここを調べに・・・」

自分の目的を思いだし、無理やり話を元に戻そうと試みる土方だったが

太「そうだねぇ、たまにはお客さんを交えての宴会も楽しそう!」
良「今日を持って副長さんもモーホー(ホモ)に目覚めちゃう?」

店の者たちはお構いなしに話を進める
さすがの土方もそれには対抗し、声を荒げる

土「おいっ勝手に話進めんな!!・・・ホモにはぜってぇならねえからな!!!」
『無理だって、うち綺麗なの多いから、ぜってぇ誰かに惚れる』
土「…ねえよ」


なおも拒む土方に夏芽は少し照れたような顔つきで土方の顔を覗き込む


『でもどうせ惚れるなら俺に惚れてほしいな…////』
土 「…は?」


いきなりの展開に思わず目を丸くする土方だったがすぐに冷静になり


土 「んなこと言って俺を落として金づるにでもするつもりか?言っとくが俺はそんなんじゃ―――…」





                                       
ぐすっ
土 「なっ!?おっおい泣くなっ?
おおおおおとこだろっ!?!」


男でもやはり美人だからだろう
泣く夏芽に相当テンパる土方


『ひっ、ひどい〜ずびっ
土方さんのばかぁえほっげふっごほっ』
土 「むせてんじゃねぇかっ!!…おい大丈夫かよ」


一応心配する土方
しかし夏芽はゴシゴシと適当に涙を拭き取り


『あ、はい大丈夫です〜』

今までの〈小学生の両想いの2人〉のような会話など忘れ去るほど呑気な声色で返事を返してくる


土 「ってめ、騙しやがったな…!くそっ!」                   
良 「夏芽、演技の腕上げたな、いやぁ〜天晴れ天晴れ!!」


仄かに赤面する土方をよそに賞賛の言葉を贈る良
夏芽の隣に立つ、いたたまれなくなった土方を見かねてか謝罪し励まそうとする夏芽


『ごめんなさい土方さん、まさかそんなに純粋な人だったなんて…
ほら早く宴会場に行きましょう?
お酒沢山ありますから嫌なことは忘れましょうよ!』


今まで生気を三分の一ほど失っていた土方は夏芽の言葉を聞いてか、突然立ち直る

土 「……………酒」




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