三章


ぼーーーー・・・





眠たげな眼を持ち上げてただ座って一日を過ごす夏芽はただ一つのことを考えていた





(早く・・・夜にならないかなぁ・・・)




理由は簡単、顔見知りである沖田や土方、初めて会った夏芽を歓迎してくれた近藤などが勤務を終えることで、話(遊び)相手が出来るからである

だが今は夏芽の側を通ることには通る隊士はいるが、皆忙しそうにし、非番と思われる隊士は男娼である夏芽にいいイメージを持っていないのか、はたまた警戒しているのか話しかけようとはしなかった


『はぁー、もう帰ろうかな・・・」


夏芽が真っ青な空にため息を零すと・・・









沖「それは困りまさぁ、せっかくこの男臭さが少し和らいだのに・・・」

『・・・・・あ、沖田っ!!』


目に映ったのは、いつもの隊服姿ではなく、珍しい袴姿の沖田



『沖田どうしたの?仕事は?』
沖「近藤さんに非番もらいやした、まぁもともと仕事なんかさぼってますけどねぃ」



いつもの調子で夏芽の隣に腰掛けながら話す沖田は心なしか嬉しそうで



『俺に気を使ってくれた?別にいいのに、夜は楽しいから』
沖「何言ってんですかい、気なんか使っちゃいませんよ、俺がただ側にいたかっただけなんでさぁ」
『ふふっそうなんだ、沖田は優しいね』



ニコニコと笑い、お茶をすする夏芽に沖田は苦笑いを零す








沖(本気なのに・・・ほんと鈍感でさぁ)


ふうと息を一つつき、夏芽を見やる沖田
その目には先程のつまらなそうな雰囲気など感じられないほどの輝きを持つ夏芽の顔が映っていた



『だったら今沖田って暇だよね?沖田さえ良ければ、今から遊びに行かない?』
沖「言うと思った」



表情は至って普通に、しかし内心は興奮が抑えられずににやけてしまうのを耐えるのに精一杯だった


夏芽は沖田に許しをもらうと、「準備してくるね」といい、残っていたお茶を飲み干し
自室(借り部屋)へと駆けていった








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