二章
銀(何であんなにデレデレしてんの夏芽くんは、つーか土方は何で赤面してんだよ)
イライライライライライラ・・・
二人を黙って見ている銀時は、ただただイライラが募るばかりであった
それもそのはず、会ったばかりで夏芽のことが気になりだした銀時は、あろうことか毛嫌いしている土方と目の前でイチャイチャとされているのだから・・・
銀「夏芽くんっあれまだ乗ってないよ!行こう!!」
『わっ銀さん!?』
銀時が少し離れたジェットコースターを指差しながら、夏芽の腕をつかみ引っ張る
土方も追いかけようと足を一歩踏み出すが、
良「まぁ、落ち着けよ、副長殿」
背後からの不意の言葉に阻まれた
土方が鋭い眼差しを向け振り返ると、そこには笑顔で佇んでいる良
その手は降参とでも言うかのように掲げてある
土「なんのつもりだテメェ」
土方が声を低く言うと
良「何が?俺が君をここに連れてきた理由?それは簡単でよかった」
一度言葉を切り、土方の耳元に口を寄せ告げる
良「あんた、夏芽が好きなんだろう?今日連れてきたのはそれを確認するためだ」
土「なっ!?!」
目を見開き動揺を隠せないでいる土方に妖しく微笑む良
良「別に交際は認めるよ、アイツが嫌じゃなければだけど、ただ寂しい思いはさせないであげてくれ、夏芽は両親もいない、天涯孤独なんだ」
寂しそうに笑い、告げる良
その目は親が子を心の底から愛しているというような、そんな感情を孕む目
土「夏芽はあんたに拾われたのか・・・・・アイツはあんたの養子か?」
良「おう、養子だよ、俺の子供・・・歳は十も離れてないんだけどな」
ハハハッと声を荒げ笑う良に土方が質問
土「そういや夏芽っていくつだ?」
良「今年で23だったかな・・・いやぁ大きくなるのは早いねぇ、ね、土方くん」
土「俺に言うな・・・知らねぇよ、親の心境なんて」
先程の鋭い視線とは裏腹に、心なしか優しい表情になる土方
すると、夏芽からもらったたい焼きの存在を思いだし、懐からあるものを取り出す
それはもちろん・・・
もりもりもりもりもりもりもりもりもり・・・
良「・・・土方くん、それは何だい?その黄色いのは一体何なんだい?」
土「マヨネーズ」
良「それたい焼きだよね、そんなに味薄かったの?というか何故そこでマヨネーズ?」
土「うまいから」
良「・・・・・」
たい焼きが黄色い高カロリーにデコレーションされていく様を、口元を抑えながら眺める
良(交際認めるっていうの、撤回しようかな・・・)
そんなことを、夏芽のふくよかな姿を想像しながら思っていた良であった
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