マイハニー05 | ナノ
本当に、たまに。思い切りぎゅーっと、抱きつきたい衝動に駆られる。そんな事、自分ではなかなか出来ないけれど。そんな時は決まって、誉さんが抱きしめてくれる。けれど今日は違った。


「はい。」
「…え?」
両手を広げて、満面の笑みで"おいで"と言った。もちろん私からそんな大胆なこと出来ないし、何より恥ずかしい。首を大きく左右に振った。

「どうして?抱きつきたかったんじゃない?」
「えっと、でも…。」
「いつも僕からじゃ不公平じゃない。」

"だから、ほら。"と催促された。
やっぱり誉さんは、私が抱きつきたいって分かってて、今までタイミング良くしてくれてたんだ。…それはそれでなんだか恥ずかしい。
…たまには自分から抱きつくのも、…やっぱり恥ずかしい。





「ごめんね、もう我慢できないや。」

腕を掴まれて、彼の腕の中に引き寄せられた。いきなりの事で頭が追いつかなくて、反応が少し遅れてしまった。

「うーん。君にちょっと意地悪しようと思ったんだけど、うまくいかないね。」

「ほ、誉さんっ。」
「可愛い顔で戸惑ってるから、待てなくなっちゃった。」
「…もしかして、からかったんですか?」
「そんなことないよ。いつも抱きつきたそうな顔してるのに、全然してきてくれないから。ちょっと、催促してみたんだ。」


「…ごめんなさい。」

そうじゃなくて、と言われて体を少し離して、正面から見つめられた。あんまり近いから、顔があつい。(きっと真っ赤になってる。)

「たまには、君からぎゅってされると嬉しいな。」

あんまりにも楽しそうに言われて、小さな声で"努力します"としか言えなかった。

ぎゅってしてよ、マイハニー