一瞬をかき集める(哉太) | ナノ
そこに写る、一瞬が全て宝物。


写真の何が、好きか。挙げればキリがない。
例えば現像するとき、その一瞬を思い出し、色濃く甦るその瞬間。それが覚えていたものと、まったく同じ事もあれば、違うようにも写る。そこが、写真の魅力の一つだと思う。

やっぱり好きなのは、その写真を見せたときの相手の笑顔だ。
自分の写真で、誰かを笑顔にできる。こんなに凄いことはない。


「あ、これ体育祭の時のだ。」
現像した写真を、月子達に見せるため、学校へ持ってきた。それを、こいつらが楽しそうに見る。
「どれどれ。月子確かこの時、二人三脚に出てたよな。」
「これだろ?一緒にやったヤツも、大変だったろーな。月子とペアじゃ。」
「哉太酷い!!…そりゃ、迷惑かけたかもしれないけど。」
「まぁまぁ。月子、放課後も頑張ってたもんな。」


写真を見ながら、こうして思い出を語るのもいい。皆で思い出を共有して、記憶に残ることは、やっぱり嬉しい。

「…いつも哉太が写真をとってくれるから、こうやって話すことができるんだよね。
ありがとね、哉太。」

「お、おう。感謝しろよ!」

そして、ありがとうと笑ってくれる月子がいる。
コロコロ表情を変えるから、いつもコイツの写真ばかり増える。その表情、一つ一つを残して置きたくて、シャッターを切る。

レンズの向こうのコイツが笑う、その瞬間も好きだ。




HAPPY BIRTH DAY!! KANATA