かわいいひと:utpr | ナノ
林檎さんは、とっても低血圧だ。朝はいつもぼーっとしている。
まるで遠くを見るように、一点を見つめ、ゆっくりと行動を開始する。

「あ、おはようございます。」

「…うん。」

返事はするものの、視線が合わない。
そのまま何処かへ、ふらふらと行ってしまった。…シャワーかな?

昨日も遅くまでお仕事だったみたいだ。目が覚めたら、何故か隣に林檎さんがいて、私の事をギューっと、抱きしめていたので抜け出すのが大変だった。


「はるかぁー。」
「どうなさったんですか?」

バスルームから間延びした声で呼びながら、パタパタとこちらにやってくる。

「春歌、おはよう。」
「ふふ、はい。おはようございます。今日の朝は、紅茶で良いですか?」
「お願い。あと…。」

おはようのちゅー、といって軽く口づけられた。

「…うん。やっと目が覚めた。」

そう満足そうに言って、もう一回と、今度は長めにキスをされる。

遠くで目覚ましが鳴っていた。