上質なシルクにしみひとつ02 | ナノ
Happy Birth Day Tubasa!
夜中に目が覚めた。
内容は覚えていないけど、とても怖い夢を見た気がする。
心臓が早く脈を打つ。嫌な目覚め。
「…どうかした?翼君。」
「あ、ご、ごめん!起こしちゃったか?」
「…。」
「…月子?」
白くて小さな手が、俺の頭をそっと包んで彼女の胸に引き寄せられた。それがまるで、大丈夫だよと言ってくれているようで、ひどく泣きたくなる。月子の心音が規則正しく聞こえる。“此処にいるよ”と教えてくれる。
何だか子供みたいで嫌だなって思ったけど、せっかく月子が抱きしめてくれたから、もう少しだけ。
「…ねぇ、月子?」
「なあに?」
「おやすみのキス、してもいい?」
「ふふ、いいよ。」
顔を上げると、眠そうな彼女と目が合う。触れるだけのキスをしたら、ふにゃっと笑って、そのまま寝てしまった。
「…ありがとう、月子。」
今度は俺が、ぎゅっと抱きしめた。
この温もりを夢の中でも、失くさないように。
上質なシルクにシミひとつ
Title by Fantastic Girl
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