二人で一つutpr | ナノ
可愛いものが好き。ピヨちゃんも翔ちゃんも、可愛いから好き。
それと同じ感覚で、ハルちゃんも好きだった。小さくてふわふわしてて、何よりエリザベスそっくりで。だから、ぎゅーってしたくなる。

「わわっ、四ノ宮さん!は、離して下さいぃ。」
そうやって真っ赤になるハルちゃんが、もっと可愛くてもっとぎゅーって抱きしめたくなる。その感覚もやっぱり翔ちゃんと同じだった。


…同じ、だった。彼女の曲にあてられるまでは。
包み込まれるようなピアノの音。ただふんわりと流れるだけじゃない、真直ぐとした芯のある旋律。

初めてだった。歌いたいと思った。喉から手が出るほど、その音楽が欲しいと思った。誰のでもない、ハルちゃんの音楽が欲しい。音を紡ぎだすその小さな手に、触れたいと思った。知りたいと思った、彼女自身を。


その時初めて彼女に対する“好きの違い”を知った。
ぎゅーってするだけじゃ足りない、焦がれるような愛しさを。
その一方で気付いていた。さっちゃんと僕は、やっぱり同じなんだってこと。
(…好き、なんだね。さっちゃんも。)

ねぇ、ハルちゃん。
僕ら2人とも、君に受け入れてもらえたら…なんて、我儘なのかな?