01.貴方がいればそれで良かった

貴方と出会って恋をして、
同じ時を過ごすようになって、同じ家で暮らすようになって
「ただいま」と「おかえり」を互いに繰り返し、
今日という日を一緒に迎え、一緒に終える。


幸せだった、本当に幸せだった。


それでも互いに忙しくなって、すれ違いの日々が続き、それが当たり前になってしまった。

私の中の音楽が小さくなっていくのを感じた。


まだ、大丈夫。まだ、平気。

そう頑張って、どれくらいたったのだろう。

仕事から帰ってきた彼からは、共演者であろう誰かの香りがする。
疑いたくない。重荷になりたくない。
貴方への、綺麗な音だけ奏でていたい。


(…だめ、だめ!いやっ!)

頭が割れるように痛い。
もうその時には、私の音楽は聞こえなくなっていた。

01.何があっても笑っていられるくらい、貴方がいればそれで良かった

(ただ、それだけなのに)


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