「どうしましょうかね…」

頭の鉢巻を取りながら新八は後ろを振り返った。
お登勢やたま達を置き去りにして万事屋グループのみが逃げてきた今、むやみに外に出るのは危険だ。

「とりあえず家帰ろうぜー」
「銀ちゃんお腹すいたネ」
「やっべ俺らカッパ巻きしか食ってねーな。オイオイどうするよ」
「あ、じゃあ私何か作りますよ?簡単なものでよかったら」
「いいんですか?」
「うん。でも…作ったら、帰るね」
「伊智は飯どうするアルか?」
「私はもういいや…お腹空いてない!」
「ダメですよちゃんと食べないと。遠慮せず僕らと食べましょう!」
「働いたら食うべき言うアル!伊智が一番頑張ってたヨ、今日」
「あ、ありがとう…」
「働かざる者食うべからずだけど、まあいっか」
「じゃあ食べたら帰ろうかな」
「帰んなよ」

一番前を歩いていた銀時が、振り向きもせず小さく呟いた。

「……今日は泊まってけば?」
「………銀時さまから誘われるなんて、伊智感激」
「もう時間も時間だしよォ、食って寝て起きりゃいいだけじゃねーか」
「そうですね、泊まっていけばいいと思いますよ!」
「私がいる限り銀ちゃんは襲わないから安心するヨ伊智」
「あ、あの…じゃあ…早く帰りましょう!」

伊智は苦笑い気味に新八と神楽の背中を押した。

「銀時さまも早くっ」
「ああ…」

自分の横を通り過ぎた3人を見た銀時は、チラリと後ろを振り返った。
だがそこには闇しか広がっていなくて、銀時はまた前を向いた。
………そうやってお前は、

「チッ…」






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