「ただいま戻りました」
「おかえりなさい伊智さん!」
「新八くんありがとう」

玄関先まで新八くんが迎えにきて、両手に提げていたレジ袋を受け取ってくれた。
居間では神楽ちゃんが寝ていて、銀時さまは見当たらなかった。

「今日はお鍋でいいかな?」
「ええ、いいですよ」
「それと、今晩は用事があるからご飯作ったら帰るね」
「分かりました。いつもありがとうございます、伊智さん」
「…新八くんのありがとうは、毎日聞けるね」
「あはは…だって、毎日感謝しちゃうんですもん」
「…ふふっ」

二人で買ってきたものを片付けながら、談笑をしていた。
すると丁度銀時さまが帰ってきた。多分パチンコかな?

「おかえりなさい、銀時さま」
「おー」
「あ、伊智さんこれは?」
「んー…それは鍋の横置いておいて」
「分かりました。これは冷蔵庫入れておきますね」
「うん、お願い」
「なになに?」
「今日はお鍋なんです。新八くんちょっと手伝ってくれる?」
「もちろんですよ!伊智さんにだけやらせるつもりは、ありません」
「優しいね。ありがとう」
「い、いやぁ…」

照れるように頭を掻いた新八くんに、小さく笑った。

「伊智ー茶ぁー」
「あ、待ってください…今ちょっと手が…」
「じゃあ僕が注ぎますよ銀さん」
「え?いいよ新八くん。私、やるからっ………あ、あつい」
「あ!大丈夫ですか伊智さん!!」
「う、うん…」
「これは冷やさないと…今冷やしタオル持っていきますから!」
「ご、ごめんね新八くん……」

「………おい、茶ァ」
「待ってくださいよ銀さん!今伊智さんが火傷したんだから!」
「いいよ新八くん!私お茶持っていく!」
「あっ伊智さん!」
「……」
「んー…ふわぁ」
「あ、おはよう神楽ちゃん」
「おはようネー…」

「はい、銀時さま」
「いらね」
「え?」

ソファに寝転がって、銀時さまはジャンプを読み始めた。

「いらねっつってんの」
「もー何を我儘言ってるんですか銀さん。はい伊智さん、どうぞ」
「あ……あ、ごめんね」
「いえいえ」
「伊智−気にする必要はないネ。情けない男のただのヤキモチアル」
「うおーい神楽ちゅわーん?何言ってんのかなー?」
「そ、そうなのですか銀時さま」
「んなこたねーよ…」
「…あーあ、神楽ちゃん。一緒に散歩でもいこっか」
「しょうがねーなぁメガネ」
「ていうことで銀さん。貸し1ですからね」
「酢昆布忘れんなヨー」
「え?え、ちょっ」

ガラララ

意味が分からないまま二人が出て行って、私はタオルを握りしめながらきょろきょろした。
銀時さま怒ってるみたいだし、わ、私も出て行った方がいいよね。

「じゃあ私も」
「おい」

ドサッ

腰に銀時さまの腕が回って、ソファに倒された。

「…なぁ」
「はい…」
「お前の好きな人って俺だろ?」
「も、もちろん…」

こんな会話、前にもした記憶が…。
小さく頷くと銀時さまは顔を俯かせながら私の肩に手を回した。

「じゃあ俺以外のヤツとなれ合うのはいい事なわけ?」
「は…はぁ、」
「どーなんだ」
「ダメ……?ですか…」
「多串くんの次はぱっつぁんかよ」
「多串くん?」
「ニコチンマヨラーだよ」
「え、昨日見ていたんですか?」

じっと見つめると、目線を落とした銀時さまが小さく頷いた。

「見たくて見てた訳じゃねーけど」
「もしかして…ヤキモチ、ですか?」
「………」
「ねえ銀時さま」
「…ちょっとだけな」

じわじわと心の中に甘いものが浸ってくる。
どうすればいいんだろう。これは?
銀時さまが…私に、ヤキモチを妬いている。
それだけで私は思考がうまく働かないなんて。

「………」
「んだよ」
「いえ…」
「…はぁ」
「銀時さまは…」
「あ?」
「銀時さまは、私の事を……」
「……それが、よくわかんねーんだ」
「……わからない、」

ぎゅっと、肩に回す手に力が籠った気がした。




111226
銀時さまってたまとかぶってるよね
今更だけど


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