「ここが、吉原―」


人が絶えない地下。想像していたよりも明るくて、青空がよく見える。
何も持たないまま家を出てきてしまった。
どこに行けば、会えるのだろうか。
フラフラと周りのお店を見ながらとりあえず一周してみることにした。


お触りパブ、SM喫茶店、ソープ……ホント、風俗店ばっかり。


「ん?お主…」

「………あ」



いた。目的の、人がいた。
金色に輝く髪の毛をボーッと見ながら私は小さくお辞儀をした。




「どうやらわっちに用があるようだな」

「ええ。…どこか、」

「わっちの家に、来い」




さっと道を引き返した月詠の後をゆっくり歩いた。
緊張?いや、違う。じゃあなんだろう。
ドクドクと鼓動が止まらない心臓の箇所を、そっと押してみた。
まるでそれが反動のように、背中が熱く感じた。








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