今日も今日とて銀時はパチンコ。
何処にそんなお金があるんだ、と疑いたくなるほどここ最近パチンコに通い詰めている。
理由は分かっている。毎日のように現れる伊智を避けるためだ。
伊智はそのことに気付いているのか気付いていないのか、何事もないようにもくもくと家事に励んでいる。
万事屋が綺麗になり、生活しやすくなることは銀時にとっても神楽にとっても、普段家事を務めている新八にも好都合だ。

「今日もすみません、伊智さん…お茶でも飲みませんか?」

「あ、それじゃあ頂きます」

「伊智ーずっと言おうと思ってたんだけど、このメガネに敬語使う必要ないアル」

「僕に失礼って思わないの神楽ちゃん!ま、まぁ…でも、僕も思っていました。僕より伊智さんの方が年上ですよね?」

「あ、はい―21です」

「あれ?10代後半に見えたヨ。童顔アルなー」

「あ、あんまり嬉しくない…かも…」


そういいながらも照れるようにはにかむ伊智を見て、神楽はニッと笑った。
今まで銀時のようにソファに寝そべって話に加わっていた彼女は、向かいのソファに座りながら洗濯物を畳んでいる伊智の隣に座った。


「そうそう、その調子ネ。私らに気なんか使ったら死んじゃうヨ?」

「おっ、神楽ちゃんにしては正論。そうですよ、僕もたまにハメ外しますから」

「お前に正論語られたくないネ。ハメじゃなくてメガネでも外してろヨ、ただのメガネ掛け器が」

「だから何で僕だけェェェェェ!?」

「ふっ…ふふっ…はははっ…」

「何笑ってるネー。伊智っ、ひざまくら!」

「はい、どうぞっ」

「へへっ」


神楽は嬉しそうにコロンと頭を乗せ、洗剤のにおいをスーッと嗅いだ。
新八もお茶を持ってきて向かい側に座り、万事屋には穏やかな空気が流れる。



ぐーぎゅっりゅりゅううう


「…お腹すいたぁ」

「確かに、もうすぐ3時だね。酢昆布は?」

「…ないアル」

「私、持ってるかも」

「え!?」

「嘘だよ」

「……伊智嫌いアル!嘘つくなんてひどいヨ!:

「ごめんね……だけど、おやつなら作ってあげられる」

「ホントアルか!?」

「でも今何もありませんよ?」

「実は、昨日来た時に冷やしておいたんだ!」


神楽をそっと起こして立ち上がった伊智は、冷凍庫から白い容器を3個持ってきた。
だらーと寝ながらそれを見ていた神楽は、きゃっほいと叫んでソファで飛び跳ねた。
新八も嬉しそうに笑って「シャーベットですか!」と伊智に駆け寄って容器を覗き込んだ。


「ブドウと、マスカットと、巨峰どれがいい?」

「伊智さん、それ全部ブドウです。でもおいしそうですね!」

「家にブドウしかなかったんだ」


恥ずかしそうに笑う伊智を見て神楽は「私ブドウ好きヨ!!」と喜んだ。



「さくさくしていておいしいですね!料理得意なんですか?」

「何を今更聞いてるアルか。伊智はバカだけど女としての腕はピカイチヨ」

「料理はあんまり得意じゃないけど…」

「そんな事ないですよ。とてもおいしいです!」

「あ、ありがとう…(笑)」




3人と定春で食べる昼下がりのおやつ。
銀時にはもちろん内緒で。


確かに3人の絆は高まっただろう。



20111119


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