「っ…はぁ……はぁ…」


目を覚ましたら、さっきと同じ木で組まれた天井。
でもちゃんと色がわかって、兎姫さまも見えなかった。
……ちゃんと戻って来れた。
私は重い体を引きずって、部屋から抜け出す。
…お水を、飲みたい。喉がカラカラ。


「……で」
「構わん。あいつ…から……」
「…?」


とある部屋から、二人の男女の声が聞こえて私は立ち止まる。
この声は…柴田家のお母様と、お父様…。
スッと影に隠れて、私は二人の話に耳を傾けることにした。
なんでそうしたのかは…自分でもよく、分からない。



「信元の奴が…あんなことさえしなければ…」
「信元のことはもう、忘れましょう」
「だがしかしアイツは人間じゃない!いつ私たちをまた襲ってくるか、分からない…」
「そうならないために、今日こうして神御越しをするんじゃないですか」
「そうだが…どうも心配でならん。天人に神様は通用するのだろうか…」
「…あなた」
「そうだな、いかんいかん。…悪い事ばかり考えてちゃ、いかんな」
「………それよりもちょうどいい生贄が見つかって、本当に、本当によかったですね」
「好都合だ。我々としても、信元と伊智はこの村から排除すべきものと思っていた。…信元がいなくなった今、あの女を護るものはもう一人もいない」
「あの男と女は、バケモノです。…いいえ、ケダモノよ!!」
「…ああ」



――頭脳種族の、深寅族………信元と伊智が、まさかその生き残りだったとは…。



「…………え?」
「伊智」
「っと、兎姫…さま」
「盗み聞きとは趣味が悪い。…聞いてしまったんだね」
「……どういうこと」
「どういうことも何も、そういうことよ」



薄いからだをゆっくりと実体化させた兎姫は、喉で笑った。




「アンタ人間じゃない。天人なのよ」





111227
なんか驚き桃の木山椒の木〜〜ってバカ。
いやいや天人設定は取ってつけじゃないですよ!
前々からちゃんとした設定として決めていましたよ!!
それとなんか兎姫と伊智がごっちゃになるんですけど、っていう方多いと思います。
簡単に言うと、背中にある蝶の刻印という名の火傷に兎姫の亡霊がいるんですけど、彼女はとんでもない悪霊となって今頃やってきましたみたいな。
だから伊智に乗り移って思考を操っているんです。1ページ目ね。
2,3ページは夢の中ですね。
こうなると兎姫は実在したの?という話になっちゃうんですが、ちゃんといました。
1ページ目で兎姫が伊智に乗り移ったのと同様、夢の中で伊智は兎姫に乗り移ったということになります。

つまりこの二人切っても切れない何かでつながってるということ…?なんです…。はい


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