「あっ」
「ん?」

新八も家に帰りしばらくした時、伊智が思い出すような声を上げた。
銀時はお風呂の最中で、神楽はもう風呂上りだった。

「着替えもってきてないや…」
「私のは伊智には小さすぎるネ。うーん…それじゃダメアルか?」
「うぅん、一日くらいいいかなぁ」
「俺の着ればいいじゃねーか」
「あ、銀時さまおあがりになられたんですね」
「おー」

銀時は冷蔵庫から紙パックのいちご牛乳を取り出して、グビグビと勢いよく飲んだ。

「プハッ。…サイズはあわねーだろうけど、昔着てた甚平なら着れると思う」
「は、はぁ…」
「それ着とけば?」
「でも…」
「銀ちゃんの言うとおりにしておくネ、伊智!」
「う、うん…じゃあ……お願いします」
「後で洗面所おいとっから、風呂入ってろ」
「はい」

伊智は小さく頭を下げて、パタパタと逃げるように風呂場に駆けこんだ。

「銀ちゃん」
「あ?」
「昔着てた甚平なんて私見たことないヨ。それ一着だけじゃん」
「ガキのくせして目が広いなオイ。あー……」

甚平ってちょっと男くせーけど、俺好きなんだわ。アイツの甚平姿。
いつか着てくんねーかなーって思って、前見た時に買った。

「また無駄遣いアルか。ていうか、伊智の甚平姿見たことあるってことはやっぱ……」
「バッちげぇよ神楽ちゅわん!!?そんな大人の世界の話とかじゃないからね!?」
「………おやすみ」
「やめてそんな目でお父さん見ないで!!泣きたくなるから!!」

パタン!と勢いよく閉められた襖を見て、小さくため息をついた。

「………あー…」





伊智、オメーいなくなったりするんじゃねぇだろうな?



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