「…分かりました。帰ります」

「おお、帰れ帰れ。冷やかしなら帰ってくれ」

「銀さんちょっと言い過ぎですよ」

「待ってヨ伊智!ホントに金は置いてかないのか?」

「……それでは、迷惑料というのもなんですけど…」


すっと懐から一万円札を20枚取り出してテーブルに置いた。



「俺の昔の名前言っただけだ。こんなにいらねぇだろ」

「いえ、いいです。どうぞ」

「銀ちゃん遠慮する必要はないネ。もらっとけヨ」

「それじゃあ」

「あ、おい…」


銀時は立ち上がって呼びとめようとしたが、迷いなく玄関へ向かっていった伊智の後ろ姿を見て静かに座った。
再び元の日常に戻された万事屋は、テーブルにぽつんと置かれた20万円をじっくりと眺めて、これから先どこで飯にするかという家族会議になった。





20111116


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