「ところでそこの娘、なかなか可愛いのう」

「あー…まあ、あれは…俺が悪かった」

「い、いえ…(むしろご褒美)」

「聞こえてるって。副音声みたいに聞こえてるって」

「おいお前らワシのこと空気にしすぎじゃないか?スルーしすぎじゃないか?」

「んだよハ…バカ皇子」

「おい今完璧バカつったよな!!!?え!?」

「なんなんですかーいったい」

「そこの娘が可愛いのう、と言ったのじゃ」

「目悪くなったんすかバカ皇子」

「銀時さまそれは私にも失礼じゃないですか?」


どこかで見覚えのある男の人(おそらく天人)は、私の方を真っ直ぐに指差した。失礼ですよ。



「ワシの嫁にしよう」

「「は???」」



その一言から数秒間は、スローモーションのようだった。
どこからか大きな網が私を包み込んで、つるし上げられた。
銀時さまが木刀に手を添えたけど、「やめて!!!!」と叫んだら押さえてくれた。


「伊智っっっ!!!!!!」

「銀時さま………!!!」

網目の中から必死に手を伸ばしたけど、下にいる銀時さまには届きそうにない。


「んー可愛いのう。飾っておきたいくらいじゃ」


下から天人が私を見上げて惚れ惚れしたように呟いた。
そもそもこの網、どこからつってるんですか…。そんな疑問も今は怖くて声に出せない。



「それじゃあの銀髪侍」

「おいっ…待て!!!!伊智!!!!!!」

「銀時さまァァッ!!!」



私が謎のトラックに積み上げられてから数秒後、ついに木刀を抜いた銀時さまが必死に追いかけてきてくれた。
だけど銀時さま。廃刀令のご時世に、いくら木刀といえでも刀振り回して走っていたら……警察に捕まっちゃいますよ。





だんだんと遠ざかる影を私は張り付いた笑みで見送った。





20111209
意味が分からない!
とりあえずまあ、ベタなごとくハタ皇子に攫われたよっていう


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