「ねェ銀さん?あの女、なんなのかしら」

「関係ねーだろー…」


うんざりする。ドM女がまた、家の天井裏から顔をだしてごく当たり前のように話しかけてきた。
俺はジャンプで顔をガードしながら話を聞き流した。
新八も神楽も驚きはせず、テレビを見ながら二人で盛り上がっていた。
あの女、なんて言われてすぐあいつが浮かんでくるのは……いや、なんでもねェ。
ドM女はスタリと降りて、俺の横にぴったりと密着した。


「あの子危険よ。銀さん知らないだろうけど、お妙さんへの突き刺すような視線とか」

「あ?妙とあいつは面識ねーだろ」

「あの子が一方的にお妙さんを知ってるみたい。その時なんて、もう獣みたいな目でにらみつけていたのよ」

「まだ懲りてねーのかよあの女…」

「単なる女の醜い嫉妬ネ」

「バーカ。あいつ、軽くあれじゃん。今話題のヤンデレじゃん」

「何アルかそれ。ヤンキーが頼んだデリヘルの事アルか?」

「いや、そうじゃなくて。しかもそれ前も聞いた気する」

「ああ、ヤンデレ。確か相手を殺したくなるほど愛してしまう人の事でしたっけ?」

「まあ人それぞれだが、要は頭がイッちゃってるって事だな」

「よかったアルな銀ちゃん。ストーカーとヤンデレから愛されて」

「いやいや、もっと普通に好かれたいわ。もっと普通に」

「大丈夫よ銀さん!私なら、普通に亀甲縛りもできるし普通に蝋燭プレイも耐えられるわ」

「お前それ普通じゃなくてキチガイ」


話がだんだんと逸れてしまって、俺はガシガシと頭を掻いた。


「おい、あんまり首突っ込むんじゃねーよ」

「でも銀さん、あの子」

「これは俺とアイツの問題だ。アイツには、お前に危害加えないよう言っておくから。これ以上絡んだら今度こそ噛まれるぞ」

「私くの一だもん。忍者だもん!ニンニン」


ニンニンポーズをするさっちゃんを、バコンとティッシュ箱で軽く殴った。


「バーカ。アイツ、俺の番犬みたいなもんだから。いてーぞー噛む力ハンパないから」

「……銀さん」

「ん、分かったら帰れや」

「最後にハグを」

「か え れ」

「……わかったわよ、もう。あ…最後に」


さっちゃんは天井裏に戻って、顔だけ出した。



「あの子がかぶき町にやってきた理由は、村の罰から逃れるためよ」








「……あ?」






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